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「納品してからがスタート」——クリニックに深く向き合い、成果に責任を持つウェブマーケティング

自由診療クリニックのウェブマーケティングを軸に、制作から広告運用・SEOまでを一気通貫で手がける株式会社NOBU。代表の海老原勝信氏は、複数の企業で現場と経営の両面を経験したのち、2020年1月に同社を創業した。「かけていただいた費用以上の価値を、最終的に責任を持って返す」——その一貫した姿勢と、美容外科をはじめとする業界特化戦略の背景を聞いた。

目次

現場と経営、両面を歩んだキャリア

海老原氏のキャリアは幅広い。リクルートグループで雑誌の進行管理業務に携わったのち、日立製作所でPBXの代理店営業、GMOグループでインターネット広告の販売、株式会社SMSでインサイドセールス、アサインナビで新規事業立ち上げの営業を経験。最後に在籍した新宿のウェブ会社では、営業マネージャー兼マーケティング担当として現場と経営の両面を担った。

この最終職での経験が、NOBUの事業に色濃く反映されている。当時のウェブ制作会社での日々を「本当に素晴らしい経験をさせていただいた」と振り返りつつ、海老原氏には一つの強い思いがあった。「制作してからがスタート、というのが僕の考え方でした」。

「その先の成果」に責任を持ちたい

創業の直接のきっかけは、業界に根づく「納品したら終わり」というスタンスへの違和感だった。

「お客様が本当に求めているのは、その先の成果です。納品して終わりではなく、そこからが一緒にマーケティングをやっていくスタートだと考えていました」。かけてもらった費用以上の価値を、最終的に責任を持って返せる会社を自分の手でつくりたい——その思いから、海老原氏は独立を決意する。

現在の主な事業は、ウェブ制作、広告運用、そしてSEO対策。なかでも最も力を注いでいるのがSEO対策だ。自社でウェブサイトを制作し、リスティング広告を出稿し、SEO対策を行う。「自分たちがそれで集客できていなければ、お客様に提案する説得力がない」。自ら実践し、毎月問い合わせが入る仕組みを回し続けていることが、そのまま提案の裏付けになっている。

「選択と集中」がもたらした美容外科への特化

NOBUの強みは、業界特化の深さにある。海老原氏はその競争優位性を3つに整理する。

一つ目は、自由診療クリニックの集患構造や経営課題、医療広告ガイドラインを深く熟知していること。「業界の言語で会話ができるので、認識のズレが起きづらい」。とりわけ美容外科クリニックを得意領域とする。二つ目は、業界での勝ちパターンを標準化してパッケージのように提供しつつ、社内に蓄積したナレッジを活かして一社ずつフルカスタムで仕上げる体制。そして三つ目が、業界特化のAI基盤の内製化だ。「医療広告ガイドラインは日に日に変わっていく。人間だけでなくAIの力も借りて、生産性を上げながら品質も担保する」。

この特化戦略には明確なルーツがある。創業当初の数年は、縁があればどんな業種の仕事も受けていた。だが対応領域を広げるほどノウハウが薄まり、一社あたりの提供価値が中途半端になるという課題が見えてきた。折しも、創業当初から支援していた美容外科クリニックの売上が右肩上がりに伸び、当初の約10倍にまで成長。「お客様を成功させることが、自分たちの成功にもつながる」という確信を得て、リソースを一挙に集中させた。いまでは顧客の9割以上が一度きりでなく長期で付き合う関係になっているという。

「断る勇気」というジレンマ

経営で最も考えさせられたのは、スケールと専門性の両立だった。特化を進めるほど、要件の合わない相手を「丁寧にお断りする勇気」が必要になる。海老原氏が深く携わったのが銀座の美容外科クリニックだったため、近隣の競合は受けられない——そうした制約が、事業拡大の壁として立ちはだかった。

「素晴らしい技術を持っているのに、どんどん営業をかけていけない。このジレンマはすごかったです」。

いまはこの課題に、対話で向き合っている。既存の顧客にもきちんと事情を説明し、了承を得たうえで支援先を広げる。「私たちがやっているのは、お客様の魅力を最大限世の中に伝えるインフラのような仕事。企業の魅力を最大化することが、そのまま競合を潰すことには直接ならないはずです」。その考えを丁寧に伝え、理解を得てきた。

さらに、これまで手がけてきたのは400万円前後のウェブ制作が中心だったが、コストを抑えたクリニック特化のセミオーダー型サービスを開発中だ。予算をかけにくい保険診療のクリニックも支援できるようにしたい——「今までお断りしてきたぶん、貢献したいという思いが強い」と語る。

理念に立ち返る経営と、2030年に向けた組織づくり

日々の判断に迷ったとき、海老原氏が立ち返るのは経営理念・ビジョン・コアバリューだ。ベースにあるのは「ご縁を大切にして日本中に幸せを広げる」という理念。「私たちが作っているのは単なるウェブサイトではなく、その先にいるユーザーとお客様が喜びあえる出会いです」。約10あるコアバリューから一つを挙げるなら、「常にもっと良くなるを考える」。日進月歩のIT業界にあって、昨日までの常識を古いものと捉え、より効率的な方法をチームで研究し続ける。メンバーが困っていれば教え合う文化も大切にしている。

強化したい課題として海老原氏が挙げるのが、リーダー育成だ。掲げる「2030年ビジョン」では、ウェブ制作・広告・SEOの3チームそれぞれにリーダー、サブリーダー、メンバーを配置し、代表や役員に依存しない自律的な組織を目指す。業界経験者の中途採用と、現メンバーのスキルアップ・キャリアアップを並行して進めている。

「クリニックといえばNOBU」を目指して

3〜5年のビジョンとして、海老原氏は売上総利益3億円、社員20名という数字を掲げる。ただし規模そのものを追うのではなく、「精鋭の組織で高い生産性を実現したい」という考えが根底にある。

定性的な目標は、クリニック業界で最も信頼できるマーケティングパートナーというブランドの確立だ。「クリニックといえばNOBUだよね、という状態をつくりたい。美容外科、歯科、眼科、美容皮膚科の経営者や院長がウェブマーケティング会社を探すとき、真っ先に私たちの名前を思い浮かべてくださる状態を目指しています」。そのために、これまで一切行ってこなかったアウトバウンド営業にも今後は少しずつ着手しつつ、自社のオウンドメディアから毎月30件以上の問い合わせが安定して入る仕組みを構築する構えだ。

最後に、海老原氏は経営者・院長へのメッセージをこう結んだ。ウェブマーケティングを嫌い、口コミこそ真のマーケティングだと考える院長もいる。「口コミも大切な一つの手段です。そのうえで、正しい相手に、正しい方法で、正しい価値を届けるための手段がウェブマーケティングだと思っています」。業界に深く向き合うことで、患者とクリニックの幸せな出会いを一件でも多く生み出したい。「いまのマーケティングに違和感や課題感をお持ちなら、率直な現状のご相談からで構いません。パートナーという関係を築ける方との出会いを、心よりお待ちしています」。

会社概要

  • 会社名:株式会社NOBU
  • 代表者:海老原 勝信
  • 事業内容:ウェブ制作、広告運用、SEO対策(自由診療クリニック領域に特化)
  • 創業:2020年1月
  • 従業員:11名(役員、社員、アルバイト)+23名(業務委託) ※2026年9月現在

編集後記

「納品してからがスタート」という一言に、海老原氏の仕事観のすべてが凝縮されている。専門性を突き詰めるほど「断る」という難しい判断を迫られながらも、対話でその壁を越えてきた歩みには、成果に責任を持つという姿勢が一貫していた。特化の深さと、そこから保険診療領域へと支援を広げようとする視野の広さ。その両立に、次の成長の芽を感じた取材だった。

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