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「続けられる」を起点に、予防医学の入り口をつくる

株式会社東京サプリメントラボは、リポソーム技術を用いたビタミンCサプリメントを主力に、サプリの企画・開発・製造・販売を手がける。ITエンジニアから起業家へと歩みを進めたCEO・竹田嶺氏が見据えるのは、AIが台頭する時代にも淘汰されない「健康」という土台だ。飲みやすさと続けやすさにこだわり、パーソナルジムやクリニックへも広がる同社のものづくりと、その先に描く構想を聞いた。

目次

AI研究者からサプリメーカーへ

竹田氏のキャリアはITエンジニアから始まる。大学ではAIの研究に取り組み、在学中からコーディングを仕事につなげてきた。卒業後はフリーランスのエンジニアとして企業の受託案件を数多く手がけ、その後はライブ配信プラットフォームの立ち上げに創業メンバーとして参画。約3年をそこに注いだのち、サプリメーカーの創業へと踏み出した。

技術者としての実績を重ねながら、竹田氏の中には次第にある問題意識が芽生えていく。「この5年、10年を振り返ったときに、インフラ化したサービスってそんなにないなと思ったんです」。人々が毎日使うアプリの多くは、システムそのものではなくコンテンツを起点に選ばれている——そう気づいたとき、「コンテンツを作らないと、いつまでたっても技術屋さんで終わってしまう」という思いが自分でサービスを生み出す原動力になった。

「最後に行き着く先」としての健康

では、どの領域で勝負するのか。竹田氏が起点に据えたのは、時代が変わっても失われない価値だった。「20年、30年、AIがこれから台頭していく中で淘汰されない事業は何だろうと考えたとき、パッと思いついたのがエンタメと、健康・美容でした」。

なかでも健康を、竹田氏は「すべての土台」と表現する。「仕事をするうえでも、遊びに行くときも、健康が前提になる。どんなにAIが発達しても、肉体だけは変わらない。みんなが最後に絶対行き着く先だと思うんです」。医療に近い領域は資格の壁も高い。そのなかで、生活者が最も手に取りやすい入り口がサプリメントだった。「予防医学に対する、皆さんのきっかけ作りになればいい」——その願いが、東京サプリメントラボの出発点になっている。

「続けられる」を設計するものづくり

主力は、リポソーム技術を用いたビタミンCのサプリメントだ。同社は用途ごとに得意分野の異なる複数の製造工場と連携し、粉末やカプセルといった加工特性に応じてパートナーを使い分けている。

数あるメーカーのなかで同社が最もこだわるのが、「飲みやすさ」と「続けやすさ」だ。「ビタミンCは毎日取り続けることが大切。でも味が理由でやめてしまう人は本当に多い。それはもったいないですよね」。だからこそ味の設計に妥協しない。試作をひたすら繰り返し、一度のサンプルで約100本を用意して100人に試してもらい、レビューを重ねる。さらに、味付けには人工甘味料を避け、天然素材を用いる。「コストは上がりますが、それでも体に良いものを、というこだわりです」。

その姿勢は市場からの評価にもつながっている。以前に他社の同種製品を離れた人からも「これなら続けられる」という声が寄せられ、乗り換えやリピートの大きな要因になっているという。販売はECと、パーソナルジムやクリニックなど提携先への卸の二軸。その開拓の約95%が紹介によるものだというのも、製品への信頼を映している。

「自由すぎる」を乗りこなす

代表として歩むなかで、竹田氏が最も難しさを感じたのは「自由すぎること」だった。「良くも悪くも、社長になると誰からも指図されない。強制力が働かないと動けない場面もあるし、自分が良かれと思って続けている行動を評価してくれる人もいない」。

その怖さを、竹田氏はこう例える。「ゴールは渋谷だと言っているのに、自分では一生懸命自転車を漕いでいて、向かっている先は横浜だった——そういうことが起こり得るんです」。組織であればトップが方向を整えてくれるが、経営者は自分で気づくしかない。だからこそ、経営者の先輩をメンターとして持ち、壁打ちを重ねながら軌道を修正してきた。

判断の拠り所は、徹底して「数字」だ。過去から現在までのデータを見て仮説を立て、選択肢ごとに見込める結果を比べる。「AとBがあって、Aのほうが数字が出そうならAを選ぶ。ただし、Aがうまくいかなかったときの撤退ラインもちゃんと決めておく」。踏み込むときと引くときの線を先に引いておく——それが、間違った方向へ突き進まないための規律になっている。

ともに未来をつくる仲間を求めて

組織づくりにおける目下の課題は、ナンバー2や幹部となる仲間集めだ。「ここはまだ見えていなくて、苦労している部分」と率直に語る。求めるのは、自発的に動けること、そして代表にもきちんと「ノー」と言えること。人材の出会いも紹介が中心だが、竹田氏はもう一つの入り口を大切にしている。「僕自身に魅力を感じて来てくれる人」だ。

だからこそ発信を欠かさない。Instagram、TikTok、YouTube、X、Threads、Note——あらゆる媒体に、自らの言葉で書き込み続ける。AIによる自動化はあえて使わない。「正直、AIのアウトプットはまだ少しずれることも多い。何より、人間の感情を動かさないなと思っているんです」。

5年で年商10億、そしてメイドインジャパンを世界へ

今後3〜5年の目標は明快だ。5期目で年商10億円。そのために、現在2つの製品ラインナップを10まで広げ、1ラインナップあたり1億円の売上をマイルストーンに据える。さらに、パーソナルジムなどを営む事業者向けに、企画・設計から製造、商社とのつながりを生かした流通までを一貫して担うOEMにも取り組む。

その先に竹田氏が見据えるのは、業界そのものの役割だ。人生100年時代、労働人口の減少を背景に、健康寿命への課題感は小売や商社を含め業界全体で高まっている。「健康は失ってからでは取り戻せない。30代、40代、50代のうちから意識して取り組むことが大切です」。日本には医療が身近ゆえに「なってからどうしよう」という発想が多い——だからこそ、予防・未病への最初の取っ掛かりをサプリで担いたいと語る。「メイドインジャパンのサプリメントは海外からの評価も高い。そうしたコンテンツをどんどん世界に発信していく、リードカンパニーになれたらと考えています」。

編集後記

技術者としての論理と、人の心を動かすことへの信念。竹田氏の言葉には、その両方が同居していた。数字で撤退ラインを引く冷静さを持ちながら、発信は一つひとつ自らの手で行う。効率化できるものと、してはいけないものを見極めるその感覚こそが、「続けられる」を設計する同社のものづくりの核にあるのだろう。健康という誰にとっても普遍的な土台に、静かに、しかし着実に橋を架けようとする姿が印象に残った。

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