システム開発から建設・製造業向けSaaSまで、幅広くIT領域を手がける株式会社GeNEE。個人事業でのアプリ開発を出発点に、2017年の法人化を経て、いまやグループ全体で約300名を擁するまでに成長した。代表の日向野卓也氏が大切にするのは「可能な限り数値化する」という判断軸だ。開発の会社から、企画構想から実行支援までを一貫して担う「ITの総合支援会社」へ——その歩みと展望を聞いた。
個人開発から法人へ、10期目のいま
日向野氏はもともと大手IT企業で、大企業向け(エンタープライズ領域)の事業企画・事業推進の実務を積んできた。その後、個人事業として取り組んでいたアプリ開発事業を法人化したのが2017年4月。会社は現在、10期目を迎えている。
法人化のきっかけは、シンプルながら実務に根ざしたものだった。自社でプロダクト開発を進め、それを世に展開しようとしたとき、個人ではなく法人としてのアカウントが必要になった。そのタイミングで法人化に踏み切ったという。
開発とSaaS、二つの柱
GeNEEの事業は大きく二つの領域で構成される。一つは、顧客から依頼を受けて手がけるシステム開発・アプリ開発などの受託開発。もう一つが、自社で展開するSaaSサービスだ。SaaSでは、建設業向けにERPに特化したサービスと、製造業向けのサービスを提供している。
受託開発の領域で強みを発揮するのが、製造業・小売業・卸売業といった「在庫」が絡む業種だ。この分野では多くの知見を蓄積しており、さまざまなソリューションを提供できるという。対応エリアは全国。北海道から京都、大阪、福岡まで、地域を問わず案件を受けている。
リード獲得は、リファラル(紹介)による案件が中心だ。それに加えて、毎回20〜30名ほどが参加する自社ウェビナー、マーケティング部が作成するホワイトペーパー、さらに独自調査をまとめた調査レポートのプレスリリースなど、複数の施策を自社で完結させながら展開している。
上流から実行まで——コンサルを内製化するまで
GeNEEのPRポイントは、SIerの領域にコンサルタントを擁している点にある。企画構想の上流段階から顧客と議論を重ね、より良いものをつくる。机上の戦略を描いて終わりにするのではなく、その後の実行支援まで一緒に走る——ここに日向野氏は自社の強みを見出している。
もっとも、その体制に至るまでには葛藤もあった。開発からスタートした会社が、コンサルティング領域に踏み込むかどうか。その判断は大きな決断だったと振り返る。外部との連携を通じてノウハウと知見を獲得し、それが今の基盤につながった。現在では、コンサルティング機能も内製化して展開している。
「可能な限り数値化する」判断軸
日々の経営判断で日向野氏が心がけているのは、「可能な限り数値化する」ことだ。
定性的な判断を伴うケースも当然ある。それでも、見方を変えることで数値として捉えられるようになるのではないか——そう日向野氏は考える。「可能な限り数値ですとか確率を求めて判断するようにしています」。感覚に流されず、数字と確率に落とし込んで意思決定する姿勢が、経営の土台にある。
エンジニア獲得と、これからのものづくり
課題は山積みだと率直に語る日向野氏だが、なかでも大きいと感じているのがエンジニアの獲得競争だ。「優秀なエンジニアをいかに採用してくるか。このあたりは大きな課題を感じています」。毎年その激化を実感しているという。
採用では、リクルートやマイナビといった媒体にほぼ掲載しつつ、自社への応募を増やすためSEOにも投資するなど、複数のチャネルを走らせている。
エンジニアの未来については「二極化する」と見る。AIの登場によって、いわゆるバイブコーディングをはじめ「ものをつくる」作業の効率化はかなり進んだ。その先で、エンジニアに求められる価値は分かれていくという読みだ。
ITの総合支援会社をめざして
3〜5年の中期で見据えるのは、体制のさらなる強化だ。カスタマーサクセスやマーケティングなど、ただつくるだけでなく、その後のスケールまで担える組織づくりを進めている。顧客からの企画構想の依頼を起点に、その後のスケールまで一貫してサポートできる会社になること——それが中期の目標だ。
その先に描くのが「ITの総合支援会社」というポジショニングである。開発はこの会社、マーケティングはこの会社、デザインはこの会社——そう分けて考える顧客も多いなか、GeNEEに依頼すればワンストップで対応できる。その立ち位置を確立すべく、日向野氏は歩みを進めている。
会社概要
- 会社名:株式会社GeNEE
- 代表者:日向野卓也
- 事業内容:システム開発・アプリ開発(受託)、建設業向けERP・製造業向けSaaSの提供
- 設立:2017年4月
- 従業員数:グループ全体で約300名

編集後記
「可能な限り数値化する」。取材を通じて何度も立ち返ったこの言葉に、日向野氏の経営者としての一貫性がにじむ。開発の会社からコンサルティングを内製化し、さらにスケールまで伴走する総合支援へ。感覚ではなく数字で意思決定を積み重ねてきたからこそ、GeNEEは領域を広げながらもぶれずに歩んでこられたのだろう。ワンストップという構想の実現に、静かな説得力を感じた。
