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情報格差をなくす。沖縄発マーケターが描く「伝える力の民主化」

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リード文

沖縄出身の野原社長が率いる株式会社RI.BANは、総合マーケティング支援とライブコマース事業を両輪に、地方の一次産業から中小企業まで幅広くサポートするマーケティング会社だ。「親父の会社にマーケティングの知識があれば、もっと多くの人に届けられた」という原体験を出発点に、情報格差の解消を事業の軸に据える若き経営者の思考と展望を聞いた。


沖縄から東京へ――マーケティングとの出会い

野原社長は沖縄県出身。大学在学中から営業の現場に飛び込み、卒業と同時に上京した。東京では社長秘書を務めながら訪問販売の営業を経験し、その後、制作会社に業務委託として参画。実務経験を積み重ねながら独立への道を開いていった。

「製作会社での経験が、今のサービスに生きています」と語るように、クリエイティブと営業の両軸を現場で身につけてきたことが、現在の事業モデルの骨格となっている。

創業の原点――父の会社が教えてくれたこと

RI.BANを立ち上げた動機は、原体験にある。「地方出身というのもありますし、親父がもともと会社をやっていたんですけど、マーケティングの知識や知見がもっとあれば、世の中のより多くの人に届けられたんじゃないかと」。

父親の会社が情報と知識の不足によって可能性を狭めていた、という記憶。それが「情報格差をなくしたい」というミッションへと結晶化し、マーケティングを軸とした事業展開の礎になった。創業当初は規模の大きい中小企業への集客支援がメインだったが、現在は一次産業や地方事業者向けに参入障壁の低いパッケージプランも提供し、「伴走型」のサービスへと進化を遂げている。

二軸の事業――マーケとクリエイティブで「売れる状態」をつくる

RI.BANの事業は大きく二つに分かれる。

一つ目は総合マーケティング支援。初回の認知獲得(ファーストマーケティング)から、ファンが生まれてブランドが確立される状態(サードマーケティング)まで、一貫して支援する。Webマーケティング、LINE運用、SEO対策、AIO、広告運用に加え、制作もトータルで担う。「売らなくても売れ続けている状態をつくるのが最終ゴール」という言葉に、同社のアプローチの本質が凝縮されている。

二つ目はクリエイティブ支援事業。全国でパートナーライバーを約1万1,000人抱えるライブ配信事務所を運営し、その中でもエンゲージメントの高い約2,000人が中心的な役割を担う。核心となるのがライブコマース支援だ。「テレビ通販のライブ配信バージョン」と表現するように、カニ・ホタテ・マグロ・和牛といった一次産業品を、既存にはなかった販売チャンネルを通じて届ける仕組みを構築している。売れた分だけ原価が発生するモデルのため、生産者側のリスクが低く、参入しやすい点も特徴だ。

さらに音楽事務所のプロデュースやオーディション番組の制作にも関与しており、「体感価値」を軸にエンターテインメント領域でのマーケティングへの展開も視野に入れている。

「10伝えたことが10で届くか」――組織づくりの苦闘

順調な事業成長の影で、最も苦労したのが組織のマネジメントだと野原社長は打ち明ける。

「自分が10伝えたものが、ちゃんと10で伝わっているのか。それぞれに自分の人生があって、自分が一番かわいいのは前提なので、その中で会社のゴールを一緒に握ってもらうためにどういう関わり方をすればいいのか」。

個人の人生設計と組織のビジョンをどう接続するか。答えを出すまでに時間がかかったと認め、「今もそこに向き合い続けている」と語る。現在の課題は、オーナーシップを持つリーダー人材の育成。「リーダー人材が増えれば増えるほど、組織は強固になる」という考えのもと、「社員」ではなく「共同経営者的な意識を持つメンバー」を育てることに注力している。

組織の若さも自覚している。業務委託を含む全体の平均年齢は28〜29歳。「役員含めてまだ若いので、経験や知識がまだ足りていないというのが正直なところ」と率直に話し、ビジョンに共鳴してくれる社外取締役や経験豊富なビジネスパーソンとの連携を検討していることを明かした。

とことん向き合う――選ばれ続ける理由

競合が多いマーケティング業界において、RI.BANが顧客から選ばれる理由はシンプルだ。「とことん向き合う」こと、そしてその姿勢をメンバー全員が体現していること。

「10万円のお客様も、年間1億円のお客様も、対等に向き合う」。土日対応も含め、規模や予算で対応の質を変えない姿勢が、信頼の積み重ねにつながっているという。「メンバー自身が日頃の生き方含めて体現しているから、こいつらならやってくれそうと仕事の依頼が来ている」という言葉には、チームへの確かな信頼が滲む。

沖縄の平均年収を引き上げる――5年で70億へ

5年後のビジョンは、地元・沖縄への強い思いと直結している。「沖縄って情報格差がすごいんですよ」。沖縄のメンバーが多い会社だからこそ、まず自社の平均年収を引き上げることを目標に掲げる。

「物心両面で豊かになったメンバーのムーブメントが横に広がって、『俺もできそうだ、頑張ろう』と思えるきっかけを作れる会社にしたい」。その指標として掲げるのが、5年で売上70億円という目標。マーケティング事業だけでは達成が難しいとして、自社プロダクトの開発・2C展開も視野に入れている。

「今期は確実に地盤を固めて、そこからブレイクスルーを起こしていきたい」。若い組織が確実に階段を上るための、慎重かつ着実な歩みを選んでいる。


会社概要

  • 会社名:株式会社RI.BAN
  • 代表者:野原紅弥
  • 事業内容:総合マーケティング支援(Web・LINE・SEO・広告・制作)、クリエイティブ支援(ライブ配信事務所運営・ライブコマース支援)、音楽事務所プロデュース、オーディション番組制作
  • 所在地:東京都
  • パートナーライバー数:約1万1,000人(全国)

編集後記

「親父の会社をもっと広げられたかもしれない」という悔恨が、一人の若者をマーケターとして突き動かしてきた。野原社長の語り口は終始静かだが、沖縄への愛着と情報格差への怒りはその言葉の奥に確かに宿っている。経験豊富な先人の力を借りながら、若いチームで着実に地盤を固めていく姿勢に、地に足のついた経営者の誠実さを感じた。

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