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耐震という「未来への投資」を、信頼でつなぐ

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リード文

一般社団法人都市再生協会は、耐震にまつわる調査から専門家のアサイン、全体のコーディネートまでを担う中立的な窓口だ。代表理事の永山杏奈氏は、アパレルの店舗マネージャー、広告代理店の営業職という異なる畑を歩みながら、2026年に同法人を立ち上げた。「建物は命を守るもの」という思いのもと、専門的で分かりにくい耐震の世界を、オーナーが安心して一歩を踏み出せる場所に変えようとしている。その原点と展望を聞いた。

アパレルから広告、そして耐震へ

東京出身の永山氏のキャリアは、18歳でアパレル大手に店舗の正社員として入社したところから始まる。20歳頃にマネージャートレーニングを経て、22歳の頃には渋谷店のマネージャーを任され、24歳頃までその現場を率いた。

その後退職し、同じ年に総合広告代理店へ営業として入社。現在も部長職として在籍している。そして今年、この広告代理店での仕事を続けながら、一般社団法人都市再生協会を立ち上げた。ファッション、広告、そして建築・耐震。一見つながりの見えない領域を横断してきた経歴が、いまの事業の土台になっている。

「相談先が分からない」を解きほぐす

法人設立のきっかけは、意外な人脈から生まれた。銀座でクラブのママを務める母のつながりで、永山氏自身もその場に立つ機会があり、そこで建築関係の方々と知り合ったのだという。地震大国・日本をめぐる話を重ねるなかで、「地域のなかで新しいことができないか」という構想が形になっていった。

背景にあるのは、旧耐震基準で建てられた建物が数多く残っているという現実だ。耐震化の必要性は理解していても、「どこに相談すればいいのか分からない」「費用感や進め方が見えない」といった理由で、一歩を踏み出せないオーナーが数多くいる。

「構造設計、建築設計、施工会社など、専門家の方はそれぞれいらっしゃる。ただ、それを全体としてつなぐ役割が足りていない」。永山氏はそう語る。専門家同士をつなぎ、建物のオーナーが安心して相談できる中立的な窓口をつくること。それが、この法人の存在意義だ。

特定の会社に偏らない、コーディネーターの強み

同協会の役割は、構造設計だけ、施工だけ、といった一部分にとどまらない。案件ごとに最適な構造設計の専門家をアサインし、調査から調整、コンサルティングまでを一気通貫でコーディネートする。構造設計一級建築士をはじめとする専門家が関わる体制を敷いている。

「特定の会社や分野に偏らず、案件ごとに動ける」ことが組織としての強みだと永山氏は言う。中立の立場だからこそ、オーナーにとって本当に適した専門家を選び、無理のない進め方を提示できる。広く築いてきたネットワークが、その柔軟さを支えている。

一方で、これまで歩んできた畑とは大きく異なる領域でもある。「構造設計や施工の基準は、いままさに勉強の段階」。専門知識を貪欲に吸収しながら、事業を前に進めている。

大切にするのは「信頼」と「素直さ」

永山氏が繰り返し口にするのは、信頼と安心だ。熊本の地震をはじめ、建物のなかで暮らし、働く人々の命が脅かされる現実を見てきた。「建物は命を守るもの」。その実感が事業の根底にある。

同時に、建築や不動産の世界は相場が分かりにくく、専門的すぎるがゆえに不誠実な対応が生まれやすい領域でもある。雑な設計や、依頼者を欺くような振る舞いがニュースになることもある。「そういうのは、本当に良くない」と永山氏は言い切る。受けた仕事に対しては、オーナーとの間に安心感と信頼感を築きながら取り組んでいきたいという。

だからこそ、ともに働きたいのは「ずるくない、素直な人」だ。適切な診断はもちろん、価格設定においても誠実であること。「一瞬の稼ぎ」よりも、まっとうに事業を積み重ねることを大切にしている。

これからの展望——耐震から、街づくりへ

現在の集客は紹介が中心だ。不動産や建築の案件は中長期にわたるものも多く、腰を据えた取り組みが求められる。ホームページは永山氏自身の手ですべて作り上げた。今後は、成果が出てきたタイミングでウェブ広告やSNSにも挑戦し、耐震の啓蒙を広げていきたいと考えている。

その先に見据えるのは、耐震にとどまらない構想だ。「街づくり、街おこし的なこともできたらいい」。古民家をはじめ、古い建物が数多く残る地方や田舎で、旧耐震の建物をリニューアルしていく。単に耐震化するだけでなく、建物そのものを地域のなかで再生させていくイメージだ。

読者へのメッセージも、その思いと地続きだ。「耐震は、起こってからでは遅い。未来への投資に近いものです」。地震大国の日本で、事前の備えが人命を救う。まだ耐震に踏み出せていない方は、ぜひ相談してほしいと呼びかける。

会社概要

  • 会社名:一般社団法人 都市再生協会
  • 代表者:永山 杏奈(代表理事)
  • 事業内容:耐震化に関する調査・調整・コンサルティング、専門家のアサイン、全体コーディネート(中立的な窓口として)
  • 創業:2026年6月

編集後記

アパレルの現場、広告の営業、そして耐震のコーディネート。異なる世界を渡り歩いてきた永山氏に一貫しているのは、「人を欺かない」という素直な倫理観だ。専門性の壁に守られて不誠実がまかり通りやすい業界だからこそ、中立の立場で信頼を積み上げようとする姿勢は、静かながら確かな社会的意義を持つ。命を守る建物を、安心して託せる相手へ。その第一歩を踏み出したばかりの挑戦を、これからも見守りたい。

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