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40年の経験を礎に——定年後に紡ぐ、外国人と日本をつなぐ仕事

株式会社ディーラボ代表・吉岡久博は、大学卒業後から40年近くにわたりサラリーマンとして歩み続け、定年退職を機に創業した。人材紹介・日本語教育の分野で20年以上培った知見と人脈を礎に、今は主にミャンマーから特定技能人材を日本の介護施設へ紹介する。急拡大より信頼の積み重ねを選ぶ経営哲学と、シニア起業という選択肢に懸ける思いを聞いた。

目次

40年のサラリーマン人生から、自分の会社へ

吉岡久博は福岡県出身。大学卒業後の1987年に民間企業へ入社し、約15年間勤務した。2002年、大原学園(学校法人)に転職。以後20年近く、日本語学校の責任者として外国人留学生の教育・就職支援に携わり続けた。

定年退職が近づいたとき、吉岡の胸にあったのは「これまでやってきたことを続けたい」という思いだった。日本語教育と外国人支援に費やした20年は、単なる職歴にとどまらず、介護施設とのネットワーク、教育ノウハウ、人材を見る目を培った時間でもあった。その資産を生かす場を自分でつくろうと、株式会社ディーラボを立ち上げた。現在、会社は3期目を迎えている。

来日前からの日本語教育が、差別化の核心

ディーラボの主事業は、特定技能の在留資格を持つ外国人の紹介だ。現在は主にミャンマー出身者を対象に、日本の介護施設へのマッチングを行っている。

同社が他社と一線を画すのは、来日前からオンラインで日本語教育を実施している点だ。「来日前の日本語研修を重視していますので、その間に外国人の候補者とかなり信頼関係ができています」と吉岡は語る。入国前から長期間関わることで、表面的なスキルだけでなく、仕事への姿勢や人柄まで見極めることが可能になる。

「大人しくてコツコツ努力するタイプの子もいれば、容量よく人当たりが良いけれど少しだらしないという子もいます。第一印象は後者の方が受けがいいんですが、時間が経つとそれが出てくる。私たちはどちらかというと前者を推薦しています」。地道な人材を推したいという信念は、日本語学校時代から変わっていない。

信頼関係を積み重ねる営業スタイル

顧客の多くは既存客からの紹介で広がってきた。日本語学校時代から介護の現場と深く関わってきた吉岡にとって、紹介による拡大は自然な流れでもある。

「人材の仕事は信頼関係がないとなかなか採用してもらえない。値段が安いからとかそういう問題でもないんです」。飛び込み営業とは対極の、積み重ねによる信頼構築が、ディーラボのビジネスモデルを支えている。

来日後のフォローも手厚い。仕事を覚えること、日本語の習得、日本の生活への適応——この三つを同時に進めなければならない外国人に対して、「できるだけ効率よく馴染んでいけるようにサポートしたい」と吉岡は言う。この姿勢が、受け入れ企業と人材双方からの信頼につながっている。

「コツコツ、信用を大切に」——経営の軸

「まだ創業3年目なので、経営というほどの大それたものはないんですが」と前置きしながらも、吉岡の言葉は一貫している。「真面目にコツコツやっていくこと。信用が一番大事で、背伸びをして信用を失っても困りますから」。飛躍的に大きくしようという野望は「今のところ特にない」と断言する。

組織運営においても同じ姿勢が貫かれる。現在は吉岡と奥様の2名の正社員体制に、業務委託の日本語教師やミャンマー人通訳者を加えた少数精鋭だ。「Aさんについて、この人はこういう見方をしている、あの人はこういう見方をしている——多面的な評価をするために、関係者のコミュニケーションを密に取ることを意識しています」。

課題として現在進行形で向き合っているのが、人材の評価軸の調整と事務作業の効率化だ。「うちがそれなりの評価をして選んだ人材でも、お客さんにとってはダメというケースもある」という齟齬をいかに埋めるか、そして入管への申請書類など増え続けるペーパーワークをいかに効率化するか——本来の人選びと教育に時間を注ぐために、この二つへの取り組みを続けている。

展望:業種と国の拡大、そしてAIへの期待

今後3〜5年で描くのは、二つの軸での拡大だ。一つは業種の多様化。現在は介護に特化しているが、飲食料品製造やビルメンテナンス、ドライバーなど特定技能の対象業種に合わせて領域を広げていく考えだ。もう一つは送り出し国の拡大。ミャンマーに加えてインドネシアなど複数の国へとリソースを広げていく。

さらに視野の遠くには、介護とAIの融合がある。「以前は夢物語だったようなことが、意外と数年先にできたりという可能性がある時代ですので、介護ロボや利用者とコミュニケーションできるツールの可能性を大いに求めていきたい」。

新しいスタッフに求めるのはスキルより志だという。「外国の方に理解があって、その方のために一生懸命働きたいと思っているような方がいい」。来日後の生活面・教育面をサポートし、企業とのつなぎ役を担う人材を、これから少しずつ増やしていきたいと語った。

会社概要

  • 会社名:株式会社ディーラボ
  • 代表者:吉岡久博
  • 事業内容:特定技能外国人(主にミャンマー出身者)の人材紹介・来日前日本語教育・来日後生活支援
  • 主な取引先業種:介護施設

編集後記

「背伸びをせず、信用を積み上げる」——吉岡久博が繰り返すこの言葉は、40年のサラリーマン人生で磨かれた経営哲学そのものだと感じた。来日前から外国人と向き合い、第一印象ではなく本質を見抜こうとする姿勢は、人を介した仕事の誠実さを静かに体現している。シニア起業を語る声に、焦りではなく余裕と誇りがにじんでいた。

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