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紹介と信頼で、採用が届きにくい現場に人を集める

紹介だけで案件が動き、話が来た時点でほとんど決まっている——SigNorn株式会社の柴崎雅人氏が手がけるのは、そんな受注のかたちを持つ採用支援だ。介護・建設・製造といった、人が集まりにくいとされる現場に向けて、InstagramやTikTokを使った採用のためのSNS運用代行を軸に事業を組み立てている。派手な拡大を追うのではなく、案件を増やしてから人を増やすという順序を崩さない。堅実に足場を固めながら次の三年を見据える経営者に、事業の考え方と価値観を聞いた。

目次

採用が難しい現場に、SNSで人を集める

SigNornの売上を支える柱は、採用支援を目的としたSNS運用代行だ。InstagramとTikTokを主な媒体とし、求人への応募が集まりにくい業種の現場に、人材を呼び込む導線をつくる。

顧客として多いのは、訪問介護をはじめとする介護事業者、人材派遣から現場系まで含む建設関連、そして製造業の現場だ。いずれも有効求人倍率の面では採用が難しいとされる領域であり、そこに正面から向き合っているのがSigNornの特徴といえる。エリアは特に絞らず、全国各地の企業と取引している。

近年は事業の幅も広げている。柴崎氏はSNS運用代行と動画の制作・編集を二本柱としつつ、医療業界に向けて、制作・SNS運用・社内向けのコンサルティングを組み合わせた総合的なメディア事業にも取り組み始めた。「動画制作」と「SNS運用」という得意領域を、業界特化のかたちで束ね直そうとしている。

紹介と信頼で広がる受注

柴崎氏の受注は、いわゆる新規営業やテレアポによるものではない。「商談という形ではなく、すり合わせの段階から『お願いしたい』と来ることが多い」と語るように、案件のほとんどが紹介から生まれる。

その源泉になっているのが、自身が参加しているコミュニティでのつながりだ。まずは一対一で対話し、編集や制作といった小さな仕事から入って信頼を確保する。そのうえで案件を紹介してもらう——この積み重ねが、安定した受注につながっている。話が持ち込まれた時点で相手の期待値が固まっているため、商談から受注に至る確度も高い。

一方で柴崎氏は、紹介に頼りきることの難しさも冷静に見ている。「自分自身がSNSを活用しきれていないので、Web集客はこれから強化しなければと思っている」。得意なはずのSNSを、自社の集客にはまだ十分に使えていない。その伸びしろを、次の打ち手として意識している。

「案件を増やしてから、人を増やす」

SigNornのチームは業務委託のメンバーで構成されている。正社員を抱え込むのではなく、良い案件があれば優秀なクリエイターが自然と集まってくる——その感覚を、SNS運用の現場で培ってきた柴崎氏はよく理解している。

だからこそ、成長の順序にはこだわる。「まず案件を増やしてから、メンバーを増やす。順序が逆だと、赤字からのスタートになってしまう」。人を先に増やして案件を追いかけるのではなく、仕事を確保してから体制を広げる。この規律は、資金面の判断にも通じている。回収の難しい案件が出たときには、「かかっているコストを全部見直して、削れるところは削った」と、迷わず身を軽くした。

数字の目標も現実的だ。「毎月コンスタントに案件をいただけるのが理想で、最低でも月に二件ずつ取っていければ、今のメンバーでも十分に回る」。無理に手を広げず、いまの座組で回り続けるラインを見極めている。

こうした議論を一段深めてくれたのが、先月加わったCOOの存在だ。三、四年前からのつながりで、相手のほうから「ジョインします」と申し出てくれたという。目標と打ち手を二人で言語化できるようになったことで、経営の解像度は着実に上がっている。

これからの三年に向けて

柴崎氏が見据えるのは、三年で売上三億円という到達点だ。COOとともにその絵姿を共有し、そこへ向かう打ち手を一つずつ設計している。

足元でまず固めたいのは、紹介に依存しない受注の入り口づくりと、Web集客の強化だ。得意なSNSを自社にも向け、案件が増えたぶんだけチームを広げていく。順序を守りながら、堅実に規模を伸ばす——SigNornの次の三年は、その延長線上に描かれている。

会社概要

  • 会社名:SigNorn株式会社
  • 代表者:代表取締役 柴崎 雅人
  • 事業内容:採用支援領域を中心としたSNS運用代行、動画の制作・編集、医療業界向けのメディア事業

編集後記

派手な成長曲線を語るのではなく、「案件を増やしてから人を増やす」と順序を守り抜く姿勢に、柴崎氏の経営者としての誠実さがにじんでいた。採用が難しいとされる現場に、紹介と信頼を積み重ねて人を届ける仕事は、地味に見えて社会的な意味が大きい。得意なSNSを自社の集客にも向け始めたとき、この会社はもう一段伸びるはずだと感じさせる取材だった。

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