株式会社modeginationは、Robloxのゲーム開発をはじめ、XR・映像・3Dオブジェクト制作を手がけるクリエイティブ企業だ。代表の江畑翔吾氏は、東京消防庁での勤務を経て独立し、メタバースやVRの未来性に賭けて起業した異色の経歴を持つ。本記事では、若いうちに挑戦したいという思いから飛び込んだ3Dの世界と、クリエイターと共に作り上げることを大切にする経営観、そして命を救う活動へとつながるビジョンに迫る。
消防士から起業家へ
茨城県水戸市出身の江畑氏。大学卒業後、公務員試験を経て東京消防庁に入庁し、およそ2年勤務した。
転機は、現場で先輩や上司の姿を見るなかで芽生えた思いだった。「若いうちにいろいろ挑戦したい」。その気持ちから独立を決意し、個人事業主としての道を歩み始める。
プログラミング、動画編集、ライター、エンジニアと、さまざまな分野に手を出したものの、どれもしっくりこなかった。そんなとき出会ったのがVRだった。FacebookがMetaへ社名を変更するなど、メタバースやVRへの注目が高まっていた時期に、将来性を見極めるためVRゴーグルを購入。実際に体験したことで、その可能性に強く惹かれた。「この時期にこの事業をやりたい」との確信から、3D・メタバース・VRの分野で会社を立ち上げ、2024年7月30日、株式会社modeginationが誕生した。
4つの柱で広がる事業
同社の事業は大きく4つの柱から成る。
メインとして最も力を入れているのが、ゲーミングプラットフォーム「Roblox」向けのゲーム開発・制作だ。次に、MRやVRを含むXR制作とアプリ開発。3つ目が、実写に3D・VFX・CGを組み合わせた映像制作。そして4つ目が、アバターなどの3Dオブジェクト制作を受注で手がける事業である。
顧客の幅は広い。芸能人のRobloxゲーム制作、地方自治体の案件、薬剤関係企業のVR開発など、決まったジャンルにとどまらず多種多様な依頼が舞い込む。
クリエイターと共に作り上げる
小規模ながら選ばれ続ける理由を、江畑氏は二つ挙げる。ひとつは、業務委託のクリエイターと連携する体制によって予算を抑えられること。もうひとつは、経営者や顧客と直接向き合う姿勢だ。「直接お話しすることで信頼を勝ち取ってきた」と語る。
その姿勢は、社内のマネジメントにも通じている。顧客第一を掲げる一方で、同氏がとりわけ重んじるのが、共に働くクリエイターの満足度だ。
「クリエイティブな世界だと、クリエイターに投げておけ、という文化があるんですけど、そういうのがあまり好きではなくて」。クリエイターに任せきりにするのではなく、一緒に作り上げていく。「どうすれば一緒に面白く、いいものを作れるのか」を常に考えている。
当たり前を、ちゃんとやる
今後は組織を拡大し、従業員やクリエイターを増やしていきたいと考えている。そのうえで、一緒に働く人に求めるのは、特別なことではない。
「ABC、当たり前のことをバカにせずちゃんとやる」。納期を無断で遅れない、約束を守る、礼儀を大切にする。「ありがとう」「すみません」がきちんと言える。会社と交わした約束を守れること――そうした基本を、江畑氏は何より重視している。
3年後、5年後の絵図
経営者としての目標は明確だ。現在の期の目標に売上を掲げつつ、同時に会社としての発信にも力を入れている。今回の取材を受けたのも、その一環だという。「会社と私自身を知っていただくことに力を入れていきたい」。
3年後には売上をさらに伸ばし、会社をより広く世の中に知ってもらう活動を増やす。5年後にはグループ会社を立ち上げ、複数社体制でグループとしての事業規模を大きく拡大させたい――そんな青写真を描いている。
命を救う行為を、エンタメと掛け合わせて
最後に、江畑氏は自身の原点に立ち返ったビジョンを語ってくれた。
消防士からメタバースや3Dの世界に進む人は珍しい。だからこそ、消防士時代に抱いた思いを掲げながら事業を伸ばし、社会貢献につなげたいという。
そのキーワードが「バイスタンダー」だ。医療従事者ではない一般の人を指す言葉で、実は目の前で人が倒れたとき、命を救える確率が高いのはこのバイスタンダーだという。「バイスタンダーとして医療の知識を広める活動やコンテンツを、今後作っていきたい」。エンタメと掛け合わせ、世の中で命を救える行為を向上させたい。そのビジョンに共感し、共に取り組める仲間を、江畑氏は求めている。
会社概要
- 会社名:株式会社modegination
- 代表者:江畑 翔吾
- 事業内容:Robloxゲーム開発・制作、XR(MR/VR)制作・アプリ開発、映像制作(実写・3D・VFX・CG)、3Dオブジェクト制作
- 設立:2024年8月30日
編集後記
消防という「人の命と向き合う現場」から、メタバースという最先端へ。一見かけ離れた二つの世界は、江畑氏のなかで「命を救う」という一本の芯で確かにつながっていた。クリエイターに任せきりにせず共に作るという姿勢、当たり前を大切にする実直さ。派手さよりも信頼を積み重ねるその歩みに、これから広がっていく事業の確かな土台を感じた取材だった。
