株式会社テクノリーフ代表の檀上有紀氏は、富山のアルミ建材メーカーから始まり、京都・東大阪の企業でものづくりを極めてきた商品開発のプロフェッショナルだ。「テクノロジーと葉っぱ」を組み合わせた社名に込められているように、すべての商品は自然科学の知見を出発点としている。涼しいテントから天然成分の虫除けまで、一見つながりのない商品群を貫く哲学と、大病をも乗り越えた開発への情熱に迫った。
商品開発こそ天職。原点は「人が喜ぶ顔を見たい」
富山県出身の檀上氏は、地元のアルミ建材メーカーに入社し、長年商品開発に携わってきた。幼い頃から不思議なことに対して「答えが出るまで調べ続ける」性格だったといい、商品開発の仕事はまさに天職だったと振り返る。
「新しい商品ができた時に、『これすごいよね、こんなの待ってたんだよね』っていう顔が見たくて、余計に開発業務には没頭していましたね」と話す。人が驚き喜ぶ顔を見ることが最大のモチベーションで、その思いは今もまったく変わっていないという。
その後、取引先からの誘いを受けて15年前に京都へ移り、さらに6年後には東大阪の別の会社でも新規事業の立ち上げを担った。サラリーマンとして役員まで昇進したが、「自分の会社をつくってもっといろんな人に商品を見てもらいたい」という思いから、現在の株式会社テクノリーフを設立した。
「テクノリーフ」に込めた思い。すべての商品は自然科学から生まれる
社名「テクノリーフ」は「テクノロジー」と「葉っぱ(リーフ)」を組み合わせた造語だ。「自然の知恵を人に生かしたい」という思いを込めた名前で、展開するすべての商品は自然科学を出発点に考えられている。
「涼しいテントだったり、天然成分の虫除けだったり、熱くならない人工芝だったり、一見何の共通性もないように見えてしまうんですけども、全て自然科学から考えたものなんです」と話す。
商品開発に必要な実験は提携する研究室へ依頼し、製造はパートナー工場が担う。現在の従業員は代表ひとりだが、独立時から「お手伝いしたい」と申し出てくれたパートナー企業が多数おり、各社とお互いの情報を共有しながら開発の質を高め合っている。
夏の長期化が追い風に。涼しいテントと天然成分の虫除け
かつては「夏3ヶ月」だった季節感が、今では「夏6ヶ月」の時代に入りつつあると檀上氏は指摘する。屋外での催事を生業にする事業者が「夏はお客さんが来ない」と困る時代に、テクノリーフのフラクタル構造を応用した涼しいテントへの問い合わせが増えているという。京都エリアの人脈からは、夏のお盆にお寺が試験導入を検討するなど、具体的な引き合いも出始めている。
虫除け製品は天然成分のみで構成されており、殺虫剤には分類されない。それでも虫に対して効果があり、民泊業者、赤ちゃんのいる家庭、観葉植物を育てる人たちにヘビーユーザーが多い。「観葉植物の鉢の近くに置いておくと、土の中にある虫の卵から出てこなくなる。今まで諦めていた部分にアプローチできる商品です」と語る。
苦境をも商品開発の糧に。コロナ禍と大病を乗り越えて
会社設立後の最初の2期はコロナ禍と重なり、事業としては厳しい時期だった。しかし「逆にその時期だったからこそ研究開発が進んだ」と前向きに捉えている。
3期目には3ヶ月の入院を余儀なくされる大病を経験した。それでも「先生にパソコンだけは持ち込ませてくれと頼んで、お客さんの要望に答えるためにCADで図面を書いていた」という。当時の経験が今の事業につながっているとも振り返る。
課題は「まず聞く」こと。飲みの場から生まれる商品アイデア
「お客様と向き合う上で意識していることは何ですか?」という問いに対し、檀上氏は「まず聞く」と即答する。相手の心が開いていなければ、本当に困っていることはなかなか出てこないという考えからだ。
商品のアイデアを得る場として、飲みの席を積極的に活用している。造園会社の経営者や神社の宮司、お寺の住職などとのネットワークが広がり、そこから課題のヒントを引き出す。「会話のなかからキーワードを見つけて投げてあげると、先方のお困りの要素が返ってくる」という独自のアプローチで、商品開発のタネを探し続けている。
一緒に働く仲間についても明確な考えがある。失敗が起きたとき、犯人を探したり人のせいにしたりするのではなく、自分ごととして問題を掘り下げ、そこから新しい発見をしようとできる人と仕事をすることが「心地いい」と話す。
3年後に向けた展望。ものづくりの仲間とともに、次の世代へ
今後の展望について、3年後にはスタッフを充実させたいと語る。「ものづくりが好き、ものを考えるのが好きという人とチームが組めれば、いずれはこの会社を譲っていきたい」と話し、事業承継を見据えた人材づくりも視野に入れている。
商品開発面では、フラクタル構造製品のコストダウン版の量産化と、虫除けの新タイプ(水で希釈して吹きかける液体タイプ)の市場投入がすでに開発段階を終えており、近く世に出る予定だという。
「偉そうにいう大先生とかみんなから注目されるとかあまり思っていなくて、単純に仕事が面白ければ満足です」と語る言葉に、ものづくりへの純粋な情熱が滲んでいた。
会社概要
- 会社名:株式会社テクノリーフ
- 代表者:檀上有紀
- 事業内容:自然科学をベースにした商品開発(涼しいテント・天然成分の虫除け・人工芝 等)
編集後記
「答えが出るまで考え続ける」というものづくりへの姿勢は、商品の種類が多岐にわたっても一貫していた。自然科学という確固たる軸を持ちながら、飲みの席での会話から課題を掘り起こし、パートナー企業と形にしていく。壮大なビジョンを語る経営者とは対照的に「面白いおっさんでいい」とさらりと笑う姿が、かえって印象深かった。
