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「損得より善悪で」――介護に悩む家族へ、お金と情報を届ける元金融マンの挑戦

金融営業の第一線に28年。その経験を手に、合同会社ミラクルポイントの西堀浩也氏が今、力を注ぐのは「介護家族の支援」だ。介護に直面したとき、家族が本当に困るのは「お金」と「情報」——その二つを届けることで、追い詰められる人を一人でも減らしたい。自らの親の介護と向き合う当事者でもある西堀氏に、事業に込めた思いと、これからの構想を聞いた。

目次

28年の金融営業から、起業へ

西堀氏のキャリアは、大学卒業後に始まった28年間の金融営業に支えられている。長く一つの会社で営業の最前線に立ってきたが、2年ほど前に独立を決意した。

「最後までサラリーマンで一生を終えることが、自分にとって本当に正しいのか。悩みながら考えたときに、自分の本当にやりたいことをやるなら、やっぱり自分で起業した方がやれると思った」。長年培った金融・保険の知見を土台に、ファイナンシャルプランナーとして新たな道を歩み始めた。

主力は「介護家族の支援」――お金と情報で寄り添う

現在の主力事業は、介護に直面した家族へのお金の相談だ。西堀氏は、介護家族が抱える悩みの本質を「お金と情報」の二つに見る。

「この二つがどちらも欠けてしまうと、介護で非常に悩むご家族が多い。最悪のケースとしてニュースになるような出来事も、お金と情報がなかったがゆえに起きてしまっている。だからこそ、正しい情報を届けることと、お金の面でのサポートが大事だと思っている」

支援のスタイルは、単発ではなく伴走型。まず現状を把握し、打てる手を一緒に探る。特徴的なのは、相談から対応まで一切無料で行い、税負担・社会保険料・介護サービス費の軽減や削減を行っていることだ。また、還付金が発生した場合のみ報酬を受け取る、完全な成果報酬制であり、相談する側に金銭的な手出しは生じない。

この領域に踏み込んだ背景には、西堀氏自身の事情もある。「僕自身の親が要介護の状態にある。同世代で、親の介護に大変な思いをしている人は非常に多い」。高齢化が進み、高齢者の比率は今後十数年にわたって増え続けると見込まれる。「困っている人の困り事を減らす、助けることもビジネスになる。お互いがウィンウィンになれる関係になればいい」と語る。

信頼を借りて届ける――B2B2Cという設計

サービスの届け方について、西堀氏は「信頼関係」を何より重視する。お金が絡む話だからこそ、見ず知らずの相手からの情報は「怪しい」「詐欺ではないか」と受け取られやすい。だからこそ、すでに信頼関係が築けている人からの発信が鍵になると考える。

そこで採るのが、介護施設や介護職など介護周りの事業者を間に置くB2B2Cの仕組みだ。事業者が持つ信頼を借りて、その先にいる情報を必要とする家族へ届ける。加えて、地域包括支援センターのような行政との連携や、セミナーを通じた情報提供のスキームも構築を進めている。

「まず周知したいのは、介護事業に携わっている事業者の方々。このサービスを知らない人も多いので、まずはそこに理解してもらう」。事業者への情報提供こそが、今の最優先課題だという。

少ない担い手だからこそ――強みと、これからの体制

介護家族へのお金の相談に特化して取り組む人は、まだ多くない。西堀氏はそのニッチさを、むしろ強みと捉える。「携わっている人が少ない領域。だからこそサービス自体が強い。知ってもらって誰も損がないサービスだと思っている」

一人で運営する現状で相談が増えれば、いずれ手が回らなくなる。その備えとして、金融・保険業界で培ったFP(ファイナンシャルプランナー)のつながりを活かす構想を描く。「伴走という点では保険の仕事とも相性がいい。知り合いのFPをマンパワーとして期待している」。協業できる相手を一社ずつ、一人ずつ増やしていく考えだ。

対応エリアは名古屋を拠点に愛知県・東海3県が中心だが、オンラインを活用すれば全国対応も可能だとする。

損得ではなく、善悪で

まだ「成功できていない」と率直に語る西堀氏。さまざまな事業を試し、うまくいかないものも多いなかで、「自分にとってこれだと思えるものを模索している」段階だという。立ち上げの苦労は尽きず、なかでも資金面の難しさは大きかった。

そんな日々の判断で西堀氏が拠りどころにするのが、一つの言葉だ。「損得勘定よりも、善悪で判断したい。稲盛和夫さんの言葉ですが、なかなかやりきれてはいない。でも経営者としては、損得より善悪で判断できるようになりたい」

今後3〜5年の展望を尋ねると、具体的な数値目標は掲げない。「何十社と提携すると言って闇雲にやっても仕方がない。縁のある人としか仕事はできないと思う」。コツコツと出会いとつながりを大事にしながら、一度築いた協業関係を絶やさず、順に増やし続けていく。「1年目より2年目、2年目より3年目と積み上げていければいい」。派手さより着実さを選ぶ姿勢に、この事業に懸ける覚悟がにじむ。

会社概要

  • 会社名:合同会社ミラクルポイント
  • 代表者:西堀浩也(代表社員)
  • 事業内容:介護家族の支援事業(介護に直面した家族へのお金・情報に関する相談、伴走型サポート)
  • 設立:2024年7月
  • 拠点:愛知県名古屋市(愛知県・東海3県を中心に、全国対応可)

編集後記

金融営業一筋28年という経歴と、自らも親の介護に向き合う当事者性。その二つが交わる場所に、西堀氏の事業はある。「困っている人を助けることがビジネスになる」という言葉は、きれいごとではなく、お金と情報が欠けた家族が追い詰められる現実を見据えた実感から出ている。数字を急がず、縁と信頼を一つずつ積み上げる——その静かな覚悟こそが、この事業の芯なのだと感じた。

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