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英語を「ツール」に、キャリアの選択肢を広げる ―― 人が主役の人材会社

英語を使って働きたい。そう願いながらも、その先に何をしたいかが定まらないまま、選択肢の狭い道へ進んでしまう若者は少なくない。シングルポイントジャパン合同会社の代表・曽我祐二氏は、英語をゴールではなくツールと位置づけ、ITや実務スキルと掛け合わせることで、一人ひとりのキャリアの土台づくりを支える。数字ではなく人と向き合う――そんな経営哲学に迫った。

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出版社からエンジニア、そして起業へ

曽我氏のキャリアは、少し回り道から始まる。大学院を修了後、まず出版社で4年間を過ごし、その後IT企業へと移った。IT企業ではエンジニアとして客先に常駐し、5年ほど現場で経験を積む。やがて同じ会社で営業職へと転じ、その傍らで今の会社の立ち上げ準備を進めていった。

エンジニアから営業、そして起業へ。異なる職種を横断してきた経歴そのものが、後に掲げる「キャリアの選択肢を広げる」という理念の原点になっている。

「英語を使う仕事」が少ない、という気づき

起業の根底にあったのは、自身の転職体験だった。かつてアメリカに暮らした時期もあり、英語を活かせる仕事を探したところ、日本にはその受け皿が驚くほど少ないと痛感したという。

「英語を使う仕事といえば、ホテルや空港のような接客業は必ずある。それはそれでいいのですが、そこから事務やバックオフィスへとキャリアを広げようとすると、経験がないぶんハードルが高くなってしまう」と曽我氏は語る。

英語を使いたいという人の多くは、留学やワーキングホリデーの経験を持ちながらも、「英語で何がしたいか」までは定まっていない。その状態で選択肢の狭い道に入ってしまうのは、あまりにもったいない――。そんな思いが、事業の出発点になった。

英語は「ツール」、掛け合わせでキャリアを広げる

曽我氏が一貫して掲げるのは、英語をあくまでツールとして捉える姿勢だ。英語そのものを目的にするのではなく、ITや実務のスキルと掛け合わせることで、「仕事を選べる人材」になれると考える。

同社が手がけるのは、英語力を必要とする企業への人材提供だ。自社の社員が顧客先に常駐し、業務にあたる。未経験からでも採用し、英語を軸にITや実務スキルを磨いてもらう。

特徴的なのは、自社での勤務をゴールとしていない点だ。「うちで働き続けるのも一つの選択肢だし、そこで培った力を武器に転職してステップアップしていくのも選択肢」。キャリアの土台をつくる場として、会社を位置づけている。顧客企業の業種は、自動車メーカーから通信キャリア、保険会社まで幅広く、共通するのは「英語とITを使う」という一点だ。

数字ではなく、人と向き合う

代表として最も苦労したのは、「売るものが人である」ことだと曽我氏は振り返る。

「メーカーなら物を作って売る。うちが提供するのは人材です。その人が常駐先で楽しく働けるのが一番いいのですが、環境によってはそうできないこともある。自分のコントロールがすべて効くわけではないんです」

エンジニア時代は自分の仕事を、リーダー時代は自分のチームをコントロールできた。しかし人材業は、そうはいかない。だからこそ、毎日は顔を合わせない常駐社員との信頼関係を、何より大切にしてきた。

この業界は、数字を追おうと思えば追える。だが、それは人を「コマ」として扱うことにもなりかねない。「そういう会社にはなりたくない」。社員一人ひとりとコミュニケーションを重ね、信頼関係を築くこと。それが曽我氏の揺るがぬ軸だ。そしてその姿勢は、社員だけでなく顧客企業との関係づくりにも等しく向けられている。

「キャリアのるつぼ」という未来像

2026年8月から9期目に入った、まだ若い会社だ。社員の多くも、未経験から入って2、3年目を迎えたばかりのプレーヤーが中心だという。

曽我氏が思い描くのは、社内に多様なキャリアのモデルケースが並ぶ姿だ。「入社して10年、5年、3年と、それぞれの成長の過程が見える状態をつくれれば、後に続く人にとってのモデルになる。金融の現場にいる人も、通信キャリアにいる人もいる。経験年数も職種もさまざまで、根底には英語でキャリアアップしてきた人がいる――そんな『キャリアのるつぼ』ができたら面白い」

事業の幅も広げていきたいという。現在はIT分野が中心だが、通訳や翻訳など英語を活かせる領域は他にもある。実際に翻訳案件に携わる社員も出てきており、こうした案件が増えれば、社員が積めるキャリアの選択肢はさらに広がっていく。現在、常駐する社員はおよそ20名。ここから会社は、次の10年へと歩みを進めていく。

編集後記

取材を通して印象的だったのは、曽我氏が終始「人」を主語に語っていたことだ。数字を追える業界にいながら、あえて人と向き合うことを選ぶ。その姿勢は、AIが単純作業を代替していく時代にあって、「人間力」や「人としての付加価値」を育てたいという言葉に自然とつながっていた。英語を入り口に、一人ひとりのキャリアの土台を築く――静かな語り口の奥に、確かな信念を感じるインタビューだった。

会社概要

  • 会社名:シングルポイントジャパン合同会社
  • 代表者:曽我祐二
  • 事業内容:英語力を必要とする企業への人材提供(人材アウトソーシング)
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