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「面白そう」を羅針盤に、子どもの自立を育てる——スポーツ教育で社会に価値を

合同会社Fountainは、部活動の地域移行支援やコーチングを軸に、子どもたちの「自立して考える力」を育てるスポーツ教育の会社だ。代表の米田文彦氏は、学生時代から社会人まで野球一筋に歩み、その経験をビジネスに転じた。本記事では、無償からの立ち上げを経て事業を築いてきた歩みと、「面白そうな方へ進む」という判断軸、そして次世代の自立を願うビジョンに迫る。

目次

野球一筋のキャリアが、教育というフィールドへ

米田氏のキャリアは、一貫して野球とともにあった。高校・大学で野球に打ち込み、社会人になってからも競技を続けた。さらに野球部のマネージャーという立場も経験し、その過程でスポーツをビジネスとして捉える視点を得ていく。

「ずっと野球を通じてなんです」と米田氏は振り返る。プレーする側から支える側へ——その両方を知ったからこそ、スポーツが持つ教育的な価値に目が向いた。現在は、その価値を子どもたちの成長へと還元することを事業の中心に据えている。

「子ども自身が考える」ための思考法を伝える

Fountainが力を入れているのが、子どもの自立を促すコーチングだ。背景には、時代の変化への問題意識がある。

「今はAIの時代になってきて、お手本となる動画もたくさんある。逆に言うと、それをどうやって自分で取捨選択して選んでいくか」。情報があふれる時代だからこそ、目標を設定し、そこへ向けて自分で考えて進む力が問われる。米田氏は自らの競技経験を土台に、その考え方や思考法を、子どもたちにわかりやすく伝えている。

強みは、対象が子どもだけにとどまらない点にある。指導者や保護者に向けても、子どもの教育についての話を届ける。「当事者である子どもの思考法を扱っている人はあまりいない」。ここにFountainならではの独自性がある。

ほぼ無償の数年を越えて

今の事業に至るまでには、地道な時期があった。立ち上げ当初は映像分野を含めて幅広く手がけていたが、創業から半年ほど経った頃、学校部活動の地域移行という大きな流れが始まることを知る。人脈を活かして教育現場に入り込んでいったものの、当初はそれが収益に直結したわけではなかった。

「最初の2、3年はほぼ無償でいろんなことをやっていました」。まだ入札という発想もなく、教育行政と一緒に「こうやっていきましょう」と、いわば仕組みを共に作り上げていく時期だったという。ここ数年でようやく事業として売上が立つようになった。無償で積み重ねた信頼と実績が、今の基盤を支えている。

二人三脚と、これからの重心

現在、会社は正社員2名の体制だ。もう一人のメンバーは元テレビ局勤務で映像制作に強く、部活動地域移行の内容を保護者向けにわかりやすく伝える説明動画などを担う。一方、コーチングや思考法の領域は米田氏が受け持つ。それぞれの得意を活かした二人三脚だ。

事業の重心も動きつつある。年度ごとの入札で売上が大きく変動する構造から、より安定した領域へ——。知り合いが運営する野球スクールと連携し、コーチングや思考法の講座を提供しながら、受講者の声を取り入れて内容を磨いている。「実績を積んで、どんどんブラッシュアップしていいものを作り、いろいろなところに展開したい」。本格的な稼働は次のフェーズを見据えている。

判断に迷ったときの軸は、明快だ。「面白そうだな、ワクワクする方」。それは野球人生で培った感覚に通じている。「自分たちが取り組みたいことができる、と思えるとワクワクする。深掘りするとそこに当てはまる」。

「拡大するか否か」という問い

課題も率直に語る。「組織的にかなり小さい会社なので、拡大するフェーズでどうするか」。小さいまま続ける道もあれば、多くの人に同じ価値を届けるために拡大する道もある。まだ答えは出していない——その正直さが、かえって事業への誠実さを映している。

目指すのは、自立できる大人を育てること

3〜5年のビジョンについて、米田氏は制度の不確実性を見据えつつ語る。部活動の地域移行は市によって進め方がまちまちで、今後の形は流動的だ。だからこそ、学校の部活動にとどまらず、民間のクラブなどにも広げ、入札に依存しない安定した仕組みを提供したいと考えている。

その根底にあるのは、一貫した願いだ。「子どもたちが自立して、考えて行動できる社会人になってほしい。そういう人を育成・養成するのが会社のビジョン」。業界内のポジション争いよりも、教育の現場でどれだけ価値を生めるか。「ナンバーワンになれるかはわからないけれど、小さくてもどんどん広めていきたい」。将来的にはノウハウを形にし、より広い展開も視野に入れつつ、今はまず土台づくりに専念する構えだ。

会社概要

  • 会社名:合同会社Fountain
  • 代表者:米田 文彦
  • 事業内容:部活動の地域移行支援、コーチング(子ども・指導者・保護者向け)、映像制作
  • 創業:2020年(令和2年)4月
  • 社員数:正社員2名

編集後記

華々しい成功譚ではなく、無償で積み重ねた数年を淡々と語る姿が印象的だった。米田氏の言葉には誇張がなく、「面白そう」「ワクワク」という素朴な軸が、そのまま事業の推進力になっている。子ども自身が考え、選び、動く力を育てる——AIの時代にこそ求められるその営みを、小さな会社が地に足をつけて広げようとしている。次代の自立を静かに支える取り組みに、確かな社会的意義を感じた。

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