株式会社ストラテリンクスは、代表取締役・鈴木駿輔氏が沖縄を拠点に立ち上げた、戦略設計のパートナー企業だ。
デザイン、DX、マーケティングを個別のサービスとして提供するのではなく、企業の課題解決に向けた一本の「戦略」として結びつける。製造現場で培った改善の視点と、日々進化するAIへの向き合い方を武器に、鈴木氏はどのように企業の未来を共に描こうとしているのか。その歩みと視点をたどる。
ドイツと製造現場で培った視点
鈴木氏のキャリアは、少し変わった原点から始まる。子どもの頃に3年ほどドイツで過ごし、早くから海外の文化や価値観に触れてきた。大学を卒業後はYKK APに入社し、生産技術の道を歩む。
「工場のなかで、生産ラインの設計や設備の導入、工程設計といった仕事をしていました」
ものづくりの根幹を担う仕事だ。やがて鈴木氏の役割は、工場の外へと広がっていく。
出荷された製品が、流通店での組み立てや工務店による施工を経て、初めて完成する。そうしたYKK APならではの事業構造のなかで、鈴木氏は施工現場を支えるフィールドエンジニアとして各地を回った。
現場で説明や支援を重ねるうちに、鈴木氏のもとには「もっと施工しやすくしてほしい」という声が数多く寄せられるようになる。その要望を受け、商品の改善に力を注いだ経験は、後の「現場の課題から出発する」という姿勢につながっていった。
「戦略から入る」ために選んだ独立
転機はコロナ禍だった。もともと花粉症に悩まされていた鈴木氏は、生活環境を変えたいという思いもあり、沖縄への移住を決意する。
YKK APを退社し、新たな拠点でデザイン、マーケティング、システムといった領域に取り組み始めた。
しかし、実務に関わるほどに、一つの実感が強まっていく。
「いくら集客しても、戦略の部分から考えなければ、なかなか成果にはつながりません」
デザインやマーケティングといった手段だけを提供しても、その土台となる戦略が定まっていなければ、十分な効果は生まれにくい。
そうして鈴木氏は、戦略設計から企業に伴走するために法人化を決めた。クライアントに対して、より広い範囲で継続的に関わりたいという思いも、その決断を後押しした。
現在は、専門性の高いパートナーたちと連携し、それぞれの強みを生かしながらプロジェクトを進める体制を構築している。
「専門的な知識を持った人と組んだほうが強い。それぞれの専門性を生かしながら連携しています」
クライアントは沖縄を中心に、九州、関西、首都圏へと全国に広がっている。Webサイトを通じた問い合わせや、これまでの支援実績をきっかけとした紹介など、さまざまな経路から新たな相談が寄せられている。
変化を恐れず、人とAIを掛け合わせる
いま鈴木氏が最も力を入れているのが、AIとの向き合い方だ。
システム構築では、開発効率や提案の幅を高めるためにAIを積極的に活用している。従来は大きな費用がかかっていた仕組みも、必要な機能を見極めながら構築することで、より現実的な予算で導入できるようになってきたという。
「AIがどんどん進化しているので、その変化に追従した支援をさらに拡充させていきたい。いままさに、頭を絞りながら取り組んでいるところです」
特定のツールに固執せず、複数のAIを実際に運用しながら、それぞれの強みを見極める。日進月歩で変わる技術を捉え続けることが、支援の質を左右すると考えている。
一方で、鈴木氏はすべてをAIに任せるわけではない。
「本質的な戦略の部分や、最終的なデザインの部分は、人がしっかり担うようにしています」
AIが生成した情報をそのまま使うだけでは、その企業ならではの強みや、情報の信頼性が十分に伝わらないこともある。だからこそ、その企業が持つ価値や、他社と差別化できるポイントを掘り下げる作業を起点に据える。
「AIにしかできないこともあれば、人にしかできないこともあります。それぞれの良さを掛け合わせながら取り組んでいきたいです」
WebやAIを十分に活用しきれていない企業も少なくない。そうした背景から、AI導入や業務活用の支援も、新たな事業の柱へと育ちつつある。
戦略を起点に、企業の未来を共に形づくる
鈴木氏が掲げる考えは明快だ。
「戦略は、実行とつながって初めて意味を持つ」
単なる制作会社やシステム会社ではなく、戦略を起点に、デザイン、DX、マーケティングを結びつけ、企業の未来を共に形づくるパートナーでありたい。その思いを強く持っている。
だからこそ、どこに課題があるのか、その企業の強みや差別化できるポイントはどこなのかを、まず丁寧に掘り下げる。
ヒアリングを通じて課題を明らかにし、どのような支援が最適なのかを対話によって確かめてから、プロジェクトをスタートする。
ストラテリンクスの特徴は、制作やシステム構築そのものを目的とせず、「戦略から入り、実行まで伴走する」姿勢にある。
ホームページや導線設計を強みとしながらも、その根にあるのは常に、企業ごとの本質に向き合う姿勢だ。
沖縄から海外へ、これからの展望
鈴木氏は、沖縄という立地に大きな可能性を感じている。
台湾をはじめとするアジア地域に近く、多言語サイトやシステムの構築を通じて、インバウンド需要や海外展開を支援できる環境があるからだ。
「沖縄や日本から海外へ展開したい企業と、沖縄や日本市場へ進出したい海外企業の双方を支援していきたいと考えています。沖縄や日本の良いものを海外へ届けることにも取り組んでいきたいです」
今後は、海外展開やDX、AI導入など、支援できる領域をさらに広げながら事業基盤を強化し、企業が抱える本質的な課題に向き合い続けていく考えだ。
最後に、鈴木氏は経営者へこう語りかける。
「変化を恐れずに、一歩踏み出すことが大切だと思います。自分の思いや目標を周囲に伝え、本気で行動すれば、応援してくれる人や新しいご縁が生まれます。経営者同士で力を合わせ、新しい価値をつくっていきたいです」
会社概要
- 会社名:株式会社ストラテリンクス
- 代表者:代表取締役 鈴木 駿輔
- 事業内容:戦略設計を起点としたデザイン・DX・マーケティング支援、Webサイト制作・導線設計、システム構築、AI導入支援、多言語サイト構築など
- 設立:2025年10月
編集後記
製造現場で「もっと使いやすくしてほしい」という声に応え続けた経験が、鈴木氏の原点にある。
華やかな手段論に流されず、まず課題の根を掘り下げる姿勢は、AIによって多くの手段が生まれる時代にこそ際立つ。
人にしかできないことを見極めながら、新しい技術を柔軟に取り入れていく。そのバランス感覚は、変化の速い時代を生きる経営者にとって、多くの示唆を与えてくれる。
沖縄から全国へ、そして海外へと視野を広げる鈴木氏の歩みに、これからも注目したい。
