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二人の未来に寄り添う——プロポーズという門出をプロデュースする

中学時代からブライダルの世界を志し、専門学校で学んで飛び込んだこの道で、人が幸せになる瞬間を見届けるやりがいを知った田中美琴氏。株式会社and moreは、プロポーズの相談から当日までをワンストップで支えるプロデュース事業を展開する。「一人で悩まず、頼ってほしい」——結婚式の現場で培ったスキルを土台に、二人の門出に寄り添う田中氏の仕事観と、この先に描く伴走型のビジョンを聞いた。

目次

ブライダルの現場で見つけた、独立への道

鳥取県倉吉市の出身。中学時代からブライダルの世界を志し、専門学校で学んだ田中氏は、新卒でブライダル、結婚式場を運営する会社に就職した。学生時代から「何かしらの形で独立したい」という思いも抱いていたという。

「人が幸せになる瞬間を作り上げ、見届ける。そこにすごくやりがいを感じていました」。長く結婚に携わる中で独立の道を模索するが、結婚式の分野には大手やフリープランナーも多く、自分ならではの価値提供の形がなかなか見つからなかった。

そこで目を向けたのが「プロポーズ」だった。「頼れる人がいなくて、一人で悩んだ末に失敗してしまう方も少なくありませんでした。より素敵に、私たちがアドバイスやサポートをできれば、二人にとっての結婚のスタートをもっと彩れるのではないか」。結婚式の現場で培ったスキルを活かし、お客様に寄り添えると確信して、事業をスタートさせた。

相談から当日まで、ワンストップで支える

株式会社and moreが手がけるのは、プロポーズのプロデュースだ。日付も場所も何も決まっていない相談の段階から、場所の提案、内容の打ち合わせ、手配や予約、先方への共有まですべてを担う。当日は現場に付帯し、二人のためだけにサプライズの遂行までサポートする。

料金は3万円から。オーダーメイドできる仕組みで、レストランなども含めた平均は20万円前後がボリュームゾーンだという。「3万円であれば、オンラインの打ち合わせやLINEでの相談、レストランの予約、打ち合わせ内容の先方への共有まで。あとは当日頑張ってきてください、というところまでをお引き受けします」。

顧客の傾向にも変化があるという。「今のご時世、すでに二人の中で結婚を決めている方が多いんです。指輪を一緒に買いに行った、親への顔合わせの日取りも決まっている、と。ただ、プロポーズは形としてしっかり思い出に残したい。でも自分たちの頭の中だけではうまく整理できないから、相談できたら助かる、という方が多いですね」。付き合った期間はさまざまで、数週間の人もいれば、十年来のカップルもいる。

トラブルも「成長痛」——一人で走り続ける経営

代表になってから一番大変だったことは、と尋ねると、田中氏は「あんまりないんですよね」と笑う。「トラブルを大変だと思うこともあるのでしょうけど、私は成長痛だと思ってしまうタイプで」。

強いて挙げるなら、いい夫婦の日やクリスマスが重なる11月から12月の繁忙期。相談が集中する時期には、一人ひとりの状況を把握し、時間を管理しながら走り続けることになる。基本的には田中氏一人で事業を回し、当日の同行などを他のプランナーに依頼することもあるという。

そんな田中氏が貫くのは、お客様の味方であり続けること。相談者に寄り添い、二人にとって最良の出発点を一緒に描く姿勢が、事業の根幹にある。

ともに働きたい人、そして描く未来

人を増やす構想もある。ただ、一から十までレクチャーする形ではなく、婚礼の仕事で高いスキルを持ちながら、産休・育休や時短勤務で第一線を離れざるを得なかった人たちに、打ち合わせや当日の同行を託したいと考えている。「ママさんにも向けられる、すごくいい仕事だと思うんです」。

3年後、5年後に見据えるのは、伴走型の会社像だ。「プロポーズのご相談というご縁から、二人の結婚、そして夫婦生活まで一緒に伴走できる会社でありたい」。すでに保険の分野では取り組みを進めており、不動産や記念日のサポートなど、家族に向けたものも含めて「何かあったときに何でも相談できる体制を整えられたら」と語る。

これからプロポーズする人へ

最近は男性だけでなく同性のカップルからの相談も増えているという。プロポーズを思い立った人へ、田中氏はこうメッセージを送る。

「自分が思っていることだけを成し遂げようとするのではなく、二人の未来に目を向けてほしい。たとえば写真は恥ずかしいからいらないと言う男性は多いけれど、女性はすごく残したいものだったりする。結婚を考えるこの機会だからこそ、相手が何を求めているのかをしっかり考えてあげてほしいんです」。

そして、頼ることをためらわないでほしいと続ける。「一人で考えても整理できなかったり、誰かにアドバイスをもらえたら心の整理ができたり、勇気を持って準備ができたりする。力を借りるのは、相手のためを思った行動です。プロポーズプランナーでも友人でも誰でもいい。もらえるアドバイスはもらって、相手のためを思って準備をして、当日を迎えてほしいと思っています」。

会社概要

  • 会社名:株式会社and more
  • 代表者:田中美琴
  • 事業内容:プロポーズのプロデュース(相談から当日までのワンストップサポート)
  • 創業:2023年11月

編集後記

トラブルさえ「成長痛」と言い切る田中氏の言葉には、逆境を前に進む力へ変える芯の強さがにじんでいた。一方で語り口はどこまでも柔らかく、相談者の心の整理に寄り添う姿が目に浮かぶ。プロポーズという一日の演出にとどまらず、その先の結婚、夫婦の人生まで伴走したいという構想は、「人が幸せになる瞬間を見届けたい」という原点と一本の線でつながっている。二人の門出に静かに寄り添う伴走者の、これからの歩みに注目したい。

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