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日本の100年企業を、中立な金融教育で支える

保険会社で13年のキャリアを積んだ後に独立した笹田良太氏が率いる株式会社LVACは、創業100年を目指す老舗企業への金融教育プログラム提供を専門とする。一社専属の限界を超え、証券・保険・年金を横断した中立的な視点で企業と従業員を支援する笹田社長の哲学と、その事業が社会に届けようとしている価値を聞いた。

目次

保険会社13年のキャリアと、独立への転機

笹田社長は兵庫県生まれ。育ちは奈良県奈良市で、中学3年間はタイのバンコクで生活するという異色の経歴を持つ。立命館大学卒業後、2008年に第一生命保険株式会社へ入社。内勤総合職として支社・本社の双方を経験し、ファイナンシャルプランニングや企画、マネジメント職を経て13年間のキャリアを積んだ。

転機はコロナ禍だった。「自分の人生を、一つの会社のレールに乗っかって走っていた。自分で決めて生きている感覚がなかった」と笹田社長は振り返る。この時期、さまざまな経営者交流会を通じて他社の代表と対話を重ねるなかで、人生を自ら切り拓く覚悟が固まった。同時に痛感したのが、一社の生命保険だけでは解決できないクライアントの課題の広さだった。「生命保険だけでなく、それ以外のことでも解決できるコンサルを中心とした活動がしたかった」──こうして株式会社LVACを立ち上げ、独立の道へ進んだ。

「100年企業サポートプログラム」という独自の使命

LVACが中核サービスとして展開しているのが「100年企業サポートプログラム」だ。創業100年を目指す老舗企業を対象に、金融教育を柱とした福利厚生プログラムを企業へ導入するB2B型の事業モデルである。

取引先は創業93年の建設業、創業95年の製造業(製餡・羊羹製造)、創業77年の商社、創業74年の老舗パッケージメーカーなど、地域経済を長年支えてきた企業群だ。経営者はいずれも2代目・3代目・4代目・5代目・6代目といった後継世代。笹田社長はこれらの企業の従業員に対し、NISAやiDeCo・確定拠出年金、相続など、特定の金融機関に偏らない中立的な金融教育を届けている。

「何々生命保険会社に勤めている方は、やはりその先に生命保険の契約をいただきたいという気持ちが働く。それは仕方のないことです。でも私はそこに寄る必要のない仕事の仕方をしています」。この中立性こそが選ばれる最大の理由であり、農林水産省の国家公務員向け金融教育を担当するまでに評価が広がっている理由でもある。

なぜ「100年企業」なのか──日本の長寿企業と地域経済

100年企業に絞り込んだ背景には、笹田社長が企業分析から得た事実がある。日本は世界有数の「長寿企業大国」です。世界の創業100年以上の企業の約4割が日本企業であり、世界で最も100年企業が多い国とされています。次点はドイツだが、日本の割合はそれをはるかに上回る。

「この島国の日本の企業が、世界の100年企業の約4割を占めている。それだけ長寿企業が多い国なんです」と笹田社長は語る。こうした企業は地域経済の屋台骨を担っており、もし経営が行き詰まれば、そこで働く従業員だけでなく、その家族にまで大きな影響が及ぶ。

「私は売り上げを上げる専門ではない。でも会社の財務と、そこで働く従業員の金融教育を通じて、皆さんの資産を守り、可処分所得を増やすお手伝いはできる」。金融専門家としての自分が社会に貢献できる領域を突き詰めた結果、100年企業という軸が生まれた。

ゼロから打ち立てたオンリーワンの強み

事業を立ち上げた当初は、葛藤もあった。「会社も今で6期目。100年企業とはほど遠い自分が、2代目・3代目・4代目の経営者の方々に求めてもらえるのか」という不安が、ゼロイチで概念を作り上げる難しさと重なり合った。

しかし結果として、競合のなさがオンリーワンの強みへと転化した。「100年企業の金融教育・福利厚生という志でここまで責任と覚悟を持ってやっている人には、出会ったことがないから、ぜひうちの会社をサポートしてほしいと言われる」。今では志を共にするパートナー企業6社と連携し、各クライアントの課題解決に当たっている。

歴史と未来を結ぶ、コーチングの視点

笹田社長が大切にしているのは、目の前の経営者の「今」だけを見ることなく、その企業が刻んできた歴史と、これからの未来を丁寧に紐解くことだ。コーチングの資格を取得し、後継世代の経営者から先代・先々代の思いを聞き取ることから支援を始める。

「創業者がどんな思いで事業を起こし、社員にどう接してきたから今の90何年があるのか。その上で今の社長がこれからの100年をどう歩もうとしているのかをヒアリングして、初めて私は金融専門家として何が御社のお役に立てるかを考える」。金融の数字だけでなく、企業の文化と人の物語に向き合う姿勢がLVACの支援の核にある。

3〜5年後の展望──チーム強化と金融教育の社会実装

足元では、70年以上の歴史を持つ企業と初めて話す段階で「ぜひ導入したい」という反応が得られるほど、需要への確信は深まっている。今後3〜5年の目標は導入企業数30社・50社への拡大と、それを支えるパートナーチームの強化だ。

さらに長期的には、ビジネスの枠を超えた金融教育の社会実装も視野に入れる。「アメリカやイギリスでは3歳・5歳から金融教育が当たり前にある。日本は先進国でありながら、金融の後進国。小・中・高・大学の教育の場に自分たちが赴いて、その礎を少しでも築けたら」。収益を度外視した社会貢献活動への意欲は、100年企業の支援という現在の事業と同じ根を持っている。

会社概要

  • 会社名:株式会社LVAC
  • 代表者:笹田良太
  • 事業内容:100年企業サポートプログラム(企業向け金融教育・福利厚生プログラムの導入支援)、金融コンサルティング

編集後記

第一生命という大組織の安定を手放し、「目の前のクライアントに本当に必要なものを届けたい」という一念から独立した笹田社長。100年企業という着眼点は一見ニッチに映るが、日本の産業と地域経済を長く支えてきた企業群に金融の知恵を届けるという発想は、スケールの大きな社会的使命を帯びている。過去・現在・未来という時間軸でクライアントの歴史に寄り添うその姿勢に、金融という枠を超えた経営者への敬意と誠実さを感じた。

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