MENU

数字の先にある「やりたいこと」を実現する——中小企業と未来を描く伴走者

株式会社SOLEIL Libertad代表・市ノ澤翔氏は、公認会計士として監査法人や外資系企業のファイナンスを経て独立し、中小企業の「未来の数字」をともに作る財務伴走支援を手がける。経営計画づくりから資金繰りまで、社長の目標から逆算した支援を軸に、経営者コミュニティや同業者向けの講座も運営。自身も資金繰りに苦しんだ経験を糧に、「正しい知識があれば救える会社がある」と全国の経営者に学びを届け続けている。その哲学と、サッカーを通じて描く壮大な展望を聞いた。

目次

フリーター時代から公認会計士へ

市ノ澤氏の歩みは、決して順風満帆な直線ではない。神奈川県鎌倉市の出身。高校を卒業した後は職に就かず、アルバイトや派遣で生計を立てながら6年ほどを過ごした。

転機となったのは公認会計士を志したことだった。勉強を始め、25歳になる年に試験に合格。その後は監査法人PwCで約4年間キャリアを積んだ。

「監査法人時代のクライアントに誘われて、外資系企業のファイナンスで2年ほど働きました。そこから独立して、今に至るという感じですね」

数字と経営の現場を、監査する側と担う側の両方から見てきた経験が、後の事業の土台になっている。

「過去の数字」ではなく「未来の数字」を作る

独立にあたっては、会計事務所を個人事業として立ち上げ、税務以外の業務は法人で受ける形をとった。個人事業と法人を並列で運営する、独特のスタイルである。

事業の中心に据えるのは、中小企業の顧問業務だ。ただし、税務や過去の数字の計算にとどまらない。

「社長と一緒に未来の数字を作っていく伴走支援をしています。将来会社をどうしていきたいかというところから逆算して、今どういうことをやればいいのかを経営計画に落とし込む。それを毎月モニタリングしながら、計画通りにいかない部分を軌道修正して、目標に近づけていくんです」

この業務を市ノ澤氏はMAS監査と呼ぶ。財務面に強みを持ち、会社の資金繰りが行き詰まらないよう支えることも、伴走支援の重要な柱だ。標準は月額25万円、ミニマム15万円からという設定で、契約期間は1年、3カ月前の申し出で解約できる。

学びの場を広げ、支援の輪を増やす

顧問業務と並んで特徴的なのが、経営者向けのコミュニティ運営である。財務を中心とした経営に必要な学びを講座スタイルで提供し、全国から数多くの中小企業経営者が参加している。

さらに、税理士や会計士といった同業者に向けた財務顧問の養成講座も手がける。中小企業への財務支援を高単価で受注するための考え方を伝えるものだ。

「会計事務所って、安い単価で仕事を受けて疲弊しているところが一般的なんです。低単価・低賃金で長時間労働になりがちで。それって単価を安く受注しすぎるから。高い給料を払って、お客さんにも真っ当なサービスを提供して、全員がウィンになる。そのやり方をお伝えしています」

講座で見出した優秀な人材には声をかけ、フランチャイズや業務委託の形で顧客支援に加わってもらう。中小企業の顧客を増やしながら、それを支える担い手も育てる。両輪で事業を伸ばしていく構えだ。

資金繰りの苦しみが、支援の原点

代表として最も大変だったことを尋ねると、市ノ澤氏は迷わず「資金繰り」と答えた。

「今でこそ資金繰りをサポートする立場ですが、それは自分自身が資金繰りで苦しんできたからというのが大きい。一時期はずっとキャッシュが減っていくような状態で、それが一番きつかったですね」

セミナーで経営者にアンケートを取り続けてきた実感として、中小企業の9割ほどが資金繰りに困っているという。だからこそ、その支援を事業の中心に据えている。

苦境から得た学びは明快だ。「知識がないと、売上が上がろうが利益が出ようが、お金はどんどんなくなっていく。それを身をもって体感しました。多くの中小企業が同じ間違いをして苦しんでいる。知識があれば防げる部分も多いんです」

社長の「やりたいこと」から逆算する

市ノ澤氏が支援で最も重視するのは、顧客企業の目標達成への貢献だ。

「売上を増やす、利益を増やす。みんなやりたいと思うわけですが、それは何のためにというところが一番重要です。社長が何をやりたいのか。それを実現するために、売上を伸ばす必要があるのかないのか、利益も青天井で増やす必要はないよね、という話もある。ゴールから逆算して今何をやるべきかを一緒に考えていく。そこが一番大切なところだと思います」

組織づくりでは、これまで業務委託を中心としてきたが、近年は若手の採用にも舵を切り始めた。若手の会計士や、20代の営業人員も迎え入れ、より活気ある組織を目指す。求める人物像はシンプルだ。

「元気があって、向上心がある人。上を目指す人ですね。そこはAIには出せないところですから」

サッカーで「熱狂を日常に」

市ノ澤氏が描く展望は、財務支援の枠を大きく超えている。最終的なゴールは、サッカーチームを立ち上げ、世界一にすることだという。

「2028年に立ち上げて、そこからステップアップしていくのを想定しています。そこに予算を割けるように、本業でしっかり利益を出して、サッカーエンタメに投資できる体制を作っていく。3年後には、その基盤とお金の流れができている状態にしていきます」

高校まで部活でサッカーに打ち込んだ市ノ澤氏だが、目指すのは監督ではなくオーナーだ。その先に見据えるのは、スポーツを通じた社会の高揚である。

「ワールドカップのような熱狂を日常に作りたいんです。毎週末のリーグ戦が、ワールドカップぐらい盛り上がる。人々がめちゃくちゃ楽しんで生活できる、そんな状態を作るのが理想ですね」

中小企業が元気になれば、日本が元気になる

最後に、読者である経営者へのメッセージを求めた。

「日本経済を支えているのは中小企業です。日本で働く人の7割ほどが中小企業で働いている。市場も縮小して、この40年ほどでどんどん元気がなくなってきた。でも、中小企業が元気になれば、そこで働く人も元気になっていくと思うんです」

若い世代についても、市ノ澤氏の見方は温かい。「欲がないとくくられることが多いですが、実際に会うとそんなことはない。ただ蓋をしているだけなんじゃないか、と感じます。若い人が希望を持てる、明るく楽しい社会を作っていく。それを経営者がやっていくべきだと思います」

そして、こう締めくくった。「中小企業は赤字の会社が過半数と言われますが、能力ではなく知識がないために間違った経営判断をして損をしている会社も多い。ポテンシャルを持っているのに、もったいない。正しい知識を持って、持てる力を発揮して、がっつり稼いでやりたいことをやっていく。そういう社会を一緒に作っていけたら嬉しいですね」

会社概要

  • 会社名:株式会社SOLEIL Libertad
  • 代表者:市ノ澤翔
  • 事業内容:中小企業向け財務伴走支援(MAS監査)、税務顧問業務、経営者向けコミュニティ運営、同業者向け財務顧問養成講座、フランチャイズ展開

編集後記

フリーター時代を経て会計士となり、自らの資金繰りの苦しみを支援の原点に変えた市ノ澤氏。その言葉には、机上の理論ではなく、痛みを通り抜けた者だけが持つ実感がこもっていた。財務という堅実な足場から、サッカーで世界一という壮大な夢へ。両者を貫くのは「正しい知識で人が持てる力を発揮できる社会を」という一貫した願いだ。中小企業に灯をともす伴走者の挑戦から、目が離せない。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次