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サッカー人生の「その後」を支える——Jリーガー12年から清掃業へ、アスリートの受け皿をつくる

引退後の人生のほうが、選手でいた時間よりずっと長い。株式会社Re young J(リアングJ)の齊藤隆成代表は、12年間Jリーガーとしてピッチに立ちながら、現役中に化粧品事業で起業した経営者だ。現在は賃貸退去後の原状回復やホテル・介護施設の定期清掃を主力に据え、体育会系の仲間とともに現場を回す。「セカンドキャリアの不安をなくせる会社になりたい」——自らの経験を出発点に、アスリートの受け皿づくりを見据える齊藤代表に、これまでの歩みとこれからの構想を伺った。

目次

現役中に始めた、アスリートのための起業

齊藤代表の原点は、サッカーにある。学生時代はサッカー一筋、高校卒業と同時にJリーガーとなり、12年間プロとしてプレーを続けた。

起業のきっかけは、選手として過ごすなかで耳にするようになった「アスリートのセカンドキャリア」の問題意識だった。選手として活躍できる期間は短く、引退後のほうが長い人生が待っている。それにもかかわらず、引退後に活躍の場を見つけられる人は決して多くない——そんな現実を肌で感じていた。

「もともと化粧品に興味があった」という齊藤代表は、屋外でスポーツをする人に向けた化粧品を開発し、現役のまま事業をスタートさせた。当時、選手をしながら経営に踏み出す人はまだ少数派。試合での活躍と事業とのバランスに無言の圧力を感じる場面もあったなかで、二足のわらじを履き続けた。

化粧品から清掃業へ、事業の軸を移す

現在の主力は清掃業だ。賃貸物件の退去後、次の入居者を迎えるまでのクリーニングや、クロス・床の張り替えといった内装、設備の交換までを担う原状回復の仕事を中心に、ホテルや介護施設の定期清掃を手がけている。

この事業へ舵を切った背景には、一人の同級生の存在があった。大学卒業後に大手の清掃会社でノウハウを積み、独立して事業を拡大していた友人が、フランチャイズ展開に乗り出す。ちょうど齊藤代表が現役引退を意識し始めた時期にその話が舞い込み、「チャンスだ」と捉えて足を踏み入れた。現在もそのフランチャイズに加盟しながら、自社の事業として育てている。

現場を支えるのは、業務委託で常駐するメンバーと従業員たちだ。「体育会系のタイプが多い」というスタッフのスピード感、そして「何でもやります」という齊藤代表自身の姿勢が信頼につながり、依頼を呼び込んでいる。営業やバックオフィスは齊藤代表がほぼ一人で担い、現場と経営の両輪を回している。

判断の軸は、いつも「お客様」

清掃業に軸足を移すなかで痛感しているのが、クレーム対応をはじめとする仕組み化の必要性だ。事業を安定させるには、現場を任せられる人材を育て、管理体制を整えることが欠かせない。まずは足元をしっかり固める——それが今のフェーズだと齊藤代表は語る。

営業は、紹介やこれまでのつながりが中心。加えて、管理会社への電話でアポイントを取る手法も自ら続けている。入れ替わりが激しくなる繁忙期を狙い、既存の業者だけでは回りきらないタイミングを見計らって声をかける。「一度お話ししに行けば決まる」という手応えの裏には、こうした時機の読みがある。

経営judgmentの拠りどころはシンプルだ。「お客様がいる仕事なので、どうしたらお客様が喜ぶのか、不安に思わないか。そこを第一に考えて決めています」。数字よりもまず顧客——その一貫した姿勢が、直接取引の広がりを生んでいる。

3年で売上倍増、その先に描くアスリートの未来

中期の目標として、齊藤代表は3年以内の売上1億円を掲げる。現在のおよそ倍にあたる数字だが、単純に現場数を増やすだけではない。創業当初は元請けの下に何社も挟まる構造で単価が低かったが、今は管理会社へ直接営業し、中間を経ずに受注できるようになった。この単価向上を進めれば、現場を大きく増やさずとも売上は伸びていくと見る。同じ清掃業で5億円規模を築く知人をロールモデルに、着実に近づいていく構えだ。

その実現に向けた最大の課題は「人」。現場を稼働させるスタッフの確保に加え、テレアポなど営業の一部を任せられる体制づくりも視野に入れる。営業担当を自社で雇うか、外部に委ねるか——次の一手を模索している。

そして、齊藤代表が本当に見据えているのは、業界や地域での立ち位置ではない。「僕自身がセカンドキャリアにすごく不安があった。だから積極的にアスリートを採用して、セカンドキャリアの不安をなくしていける会社になれたら」。自らが感じた不安を、次の世代には味わわせない。その思いが、事業を前へと動かす原動力になっている。

会社概要

  • 会社名:株式会社Re young J
  • 代表者:齊藤隆成
  • 事業内容:賃貸原状回復(クリーニング・内装・設備交換)、ホテル・介護施設の定期清掃、化粧品事業
  • 創業:2021年8月
  • 従業員:3名(ほかに常駐の外部スタッフ5名)

編集後記

プロサッカー選手という、輝かしくも有限のキャリア。その「その後」に正面から向き合い、自らの不安を事業の使命へと転換した齊藤代表の姿は、多くのアスリートにとって希望になるだろう。飛び込み営業も、クレーム対応も、テレアポも——泥臭い現場をいとわず一人で背負う姿勢からは、ピッチで培った粘り強さがにじむ。アスリートの受け皿となる会社へ。その挑戦のこれからに注目したい。

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