株式会社コーティングGは、スマートフォンやブランド品、住宅設備など幅広い対象にガラスコーティングを手がける専門会社だ。建設業でキャリアを積んだ代表取締役・庄司佳史氏は、顧客から届く「ありがとう」という言葉に動かされてこの事業に参入。現在はフランチャイズ本部としての展開にも力を注ぎ、「ロイヤリティなし」という独自の設計で加盟パートナーと共に成長を目指している。
建設業を渡り歩き、38歳で独立
庄司氏は和歌山県の出身。社会人のスタートはJRへの就職だったが、約2年で転職。その後リフォーム会社、解体会社と建設・施工の現場を経験し、38歳のときにリフォームと解体業で独立した。
独立後もリフォーム事業に携わり続けながら、複数の業種を掛け持ちする経営スタイルを築いていった。その積み重ねが、後にガラスコーティング事業とフランチャイズ本部の立ち上げへとつながっていく。
「ありがとう」が響いた、事業転換の瞬間
建設・リフォーム業は安定した収益をもたらしてはいたが、庄司氏には引っかかりがあった。「やっぱり感謝の世界が強いっていうんですかね、ありがとうの世界ではないものですから」と振り返る。
そんな中でたまたまガラスコーティングと出会い、試験的に始めてみると、施工後に顧客から「わあ、嬉しい、ありがとう」という言葉が自然に返ってきた。単価はリフォームに比べてはるかに小さい。それでも、その直接的な反応が庄司氏を動かした。「お客さんに喜んでもらえそうな仕事。それで始めた」——その一言に事業の原点が凝縮されている。
エンドユーザーのリピート率はグループ全体でほぼ100%に達するという。一度コーティングを体験した顧客が、新たなブランド品を購入するたびに戻ってくる。SNSを通じた来店も増えており、口コミと投稿が集客の両輪となっている。
ロイヤリティなし——加盟パートナーへの誠実な設計
事業を続ける中で、顧客や知人から「自分もやりたい」という声が相次いだ。庄司氏は他社フランチャイズの3分の1ほどの価格水準でフランチャイズ本部を立ち上げ、間口を広げることにした。
加盟構造の最大の特徴は、月次ロイヤリティを設けていない点だ。その背景には、加盟する側として別のフランチャイズを見てきた庄司氏自身の経験がある。「頑張れば頑張っただけ取られる、この税金システムみたいなのがちょっと嫌だなと思ってた。自分がやるときはロイヤリティ一切なしにして」。広まれば広まるほど会社の認知が高まる——そのサイクルを優先した設計だ。
現在の加盟店数は12店舗。月間の平均利益は1店舗あたり40万〜60万円ほどで推移しており、投資回収期間は平均2ヶ月程度、早い店舗では半月でペイするケースもある。
美容サロン、建設業——そしてマリーナへ
加盟パートナーの顔ぶれは多彩だ。庄司氏の建設業のネットワークからリフォーム会社や外構業者が参入しているほか、ネイルサロンやエステなど美容系の店舗も多い。「綺麗にされる方はブランド品を持っている確率が高いので、施術の合間にコーティングも一緒にして、客単価を底上げするという使い方をされている方が多い」と庄司氏は語る。
次のターゲットとして庄司氏が注目しているのが、マリーナだ。船で出港すると3〜5時間は戻らないため、その間にブランド品や車の内装を預かってコーティングを仕上げるモデルを構想している。「マリーナに来る方はお金を持っている方が多い。しっくり来れば、1地域1店舗の制約もクリアできるんじゃないか」と、実現に向けて動き始めているという。
3年で50店舗、地域リーダーを育てる
フランチャイズ事業を立ち上げておよそ2年で12店舗。庄司氏は今後1年ほどで28店舗、3年以内に50店舗を達成するビジョンを描く。エリアは現在の愛知・兵庫から神戸、そして九州へと広げていく計画だ。
「各地域で頑張って仕切れる人ができれば、そこの地域のリーダーとなってもらって、僕みたいな立ち位置で各地域でやってもらう」。社員を雇用するよりも、同じ志を持つ自立した仲間を各地に育てていくイメージだ。
仲間に求めるのは、スキルよりも感覚だという。「仕事に対する喜び、お客さんにありがとうと言われることが嬉しいと思える仲間がいい」——事業が大きくなっても、その出発点にあった感動を軸に置き続けている。
会社概要
- 会社名:株式会社コーティングG
- 代表者:代表取締役 庄司 佳史
- 事業内容:各種デバイス・ブランド品・住宅設備・車内のガラスコーティング、ガラスコーティング事業のフランチャイズ展開
- 加盟店数:12店舗
編集後記
「ありがとうの世界ではない仕事から、ありがとうと言われる仕事へ」——この言葉が、庄司氏の事業の核を端的に言い表している。ロイヤリティなしという設計も、間口を安く広げるという姿勢も、利益よりも「一緒に喜べる仲間を増やしたい」という思想から来ていた。物を大切にする文化を広げるという哲学が、フランチャイズの設計にも自然に反映されているように感じた取材だった。
