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制限しないから、面白いものが生まれる——伴走で「顧客満足度100」を追うマーケティング支援

株式会社メディアトランク代表・山磨健太氏は、SNS運用代行や動画を軸にした企業のマーケティング支援を手がける経営者だ。TikTokで1400万再生を記録するショートドラマを生み出す一方、クライアント企業の内側にまで入り込む「伴走型」の支援で継続契約を積み上げてきた。掲げるのは「顧客満足度100」。その言葉は、社外の顧客だけでなく、共に働く社員へも同じ温度で向けられている。制限をかけないことでクリエイティビティを引き出す——その経営哲学の源泉を聞いた。

目次

ゴリゴリのベンチャーで学び、フリーランスから創業へ

埼玉県出身の山磨氏は、法政大学をストレートで卒業。就職活動をいわゆる「ゴリゴリ」にこなしたわけではなく、アルバイト先で知り合ったベンチャー企業の社長から「お前来いよ」と声をかけられ、そのまま入社することになった。

配属されたのはソーシャルゲームの会社。売上管理から企画、マーケティングまで幅広く任され、みっちりと仕事を仕込まれた。もともとYouTubeなどが好きだった山磨氏にとってゲーム領域は本命ではなかったが、「やってみよう」とセンスを磨いた1年間が、その後の土台になっている。

退職後は独学で動画編集やインフルエンサーマーケティングを学び、先輩などからも吸収しながらフリーランスとして活動。そこで得た手応えを事業として形にすべく、創業に至った。

企業に「入り込む」伴走型のマーケティング支援

事業の柱はマーケティング支援だ。SNS運用代行や、動画媒体を使った企業マーケティングの支援をメインに、直近ではショートドラマ制作にも力を入れる。TikTokで1400万再生、900万再生を記録する動画も生まれており、事業は好調に伸びている。

依頼が多いのは、美容クリニックやいびき治療、肌、ダイエットといったクリニック系の企業だ。多くは「集客が足りない」という相談から始まるが、山磨氏はまず認知度という土台の課題に目を向ける。認知を広げ、サービスを知ってもらい、良いと感じてもらう——そこまでを段階的に設計し、広告運用まで一気通貫で支援する。

競合がひしめく中で選ばれる理由を、山磨氏は「徹底的に伴走すること」だと言い切る。クライアントのマーケティング部署にほぼ社員のように入り込み、上長への提案資料を一緒に作り、契約範囲外の課題にも踏み込んで提案する。「自分たちから積極的に相手の課題を見つけて、しっかり改善できる提案を心がけている」。2ヶ月に1回は必ず何かしらの提案を出し、1社につきプロジェクトマネージャーとディレクターの2名体制でダブルチェックを効かせる。約20名のチームが、この手厚さを支えている。

再現性と顧客満足度——創業期に越えた壁

順調に映る歩みの裏には、明確な壁があった。ひとつは「再現性」だ。「バズるって、意外と運でバズってしまうこともある」と山磨氏。成果が出たときより、出なかったときにどう動くか。連続して結果を出し続ける再現性の確立に、大きく苦労したという。

もうひとつが顧客満足度だ。仲の良い代理店から仕事をもらえていたため集客には苦労しなかったが、創業当初は満足度の低さから契約を切られることもあった。転機になったのが、伴走型への転換だった。コミュニケーションのズレが起きないよう自社側で丁寧にケアすることを徹底した結果、満足度は着実に上がっていった。

その積み重ねは数字にも表れている。当初は3ヶ月や半年での契約が、今では2年半、2年、1年と継続が取れるようになった。試行錯誤を「めちゃくちゃした」と振り返る山磨氏の言葉には、実感がこもる。

社員もまた「お客様」——制限しない組織づくり

組織づくりで山磨氏が最も重視するのも、やはりコミュニケーションだ。「従業員もお客さんだと思っている部分がある」。社員に対する顧客満足度もまた、上げるべきものとして意識している。

象徴的なのが、週1回の勉強会だ。任意参加ながら、企画の作り方といった実務にとどまらず、「人生でどういうゴールを目指すのか」「目標から逆算してどう歩むのか」まで踏み込む。納得感を持って働いてほしいという思いから、目線合わせを欠かさない。今後は財務や税金といったテーマで、知人をゲストに招く構想もある。

この社員ファーストの発想には、山磨氏自身の原体験がある。かつては縦社会で働くことが多かったが、フリーランスになり制限のない環境で自由に動いたとき、視野が広がり、成果も出た。「制限しないことでクリエイティビティが上がり、お客様に良い成果を届けられる」。社員ファーストは、お客様ファーストの延長線上にある一歩目なのだ。

「普通で終わりたくない」人と働きたい

採用はこれまでリファラル中心だったが、今後も同じやり方では続かないという判断から、媒体も活用して大募集中だ。特に若い力を求めている。

求める人材像は明確だ。「明確なビジョンがある人」ではなく、「自分が何になりたいのかはぼんやりしているけれど、普通には終わりたくない」という人。メンバー一人ひとりが自走して考えることを大切にする同社では、その姿勢がコミュニケーションを通じて磨かれていく。もうひとつ共通言語にしているのが「ゴールから逆算して物事を考える」こと。クライアントのアカウントを伸ばすのも、自分のやりたいことを実現するのも、すべて逆算で捉える力を、山磨氏は歓迎する。

人と人で価値を出す——これからの展望

3〜5年後について、山磨氏はまず「ワクワクして働ける会社にしたい」と語る。同社はどこまでいってもクリエイティブを作る会社だ。義務感の強いクリエイティブは伸びず、喜ばれもしない。自分たちが面白いと思え、なおかつゴールに近づくものを作り、その領域を広げていきたいという。

会社としては「大きいビルにテナントを入れたい」という思いもある。ただしその理由も一貫して社員視点だ。「社員のモチベーションが上がるから。上がらないなら入らない」。

より長期では、店舗型やアナログな取り組みにも挑戦したいと考えている。AIの発展を強く意識する山磨氏は、「みんなが作れるものには大きな差がつかなくなる」と見る。だからこそ、人と人で価値を出せる事業をやっていきたい——その視線は、顧客と向き合う日々の姿勢にも通じている。相手が「契約本数を減らしたい」と言ってきたとき、言葉尻だけを捉えず、その背景にある事情までヒアリングする。事実を取りに行くその配慮こそ、同社の伴走を支えている。

会社概要

  • 会社名:株式会社メディアトランク
  • 代表者:山磨健太
  • 事業内容:マーケティング支援(SNS運用代行、動画を活用した企業マーケティング支援、ショートドラマ制作、広告運用)

編集後記

派手な言葉で事業を語るのではなく、「制限しない」「相手の状況を一回考える」といった等身大の言葉を積み重ねる山磨氏。その一つひとつが、社員にもクライアントにも同じ温度で向けられていることが印象的だった。顧客満足度100という高い目標を、精神論ではなく伴走という具体で追う姿勢に、これからの支援業の一つのかたちを見た。

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