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一人からはじめる、次世代のIPO──テクノロジーの民主化を掲げる経営者

株式会社サブスクラインの宇野涼太氏は、Webエンジニアとして培った開発力を武器に、LINEを軸としたマーケティングプラットフォーム「サブスクライン」を提供している。掲げるのは「テクノロジーの民主化」。そしていま宇野氏が見据えるのは、AIをフル活用した“市場最少人数での上場”という前例なき挑戦だ。エンジニア出身の起業家が語る、事業の核と、これからの働き方の在り方に迫る。

目次

エンジニアが感じた「負」を、開発で解く

宇野氏のキャリアは、Webエンジニアとして始まった。JavaScriptなどの開発に携わりながら技術を磨き、2020年に独立・起業する。

起業の原点にあったのは、自身がツールやサービスを利用するなかで感じていた「使いづらさ」だった。負の部分を解消したい、その課題を自分であれば開発という形で世の中に還元できるのではないか──その思いが事業の出発点になっている。

「テクノロジーの民主化」。宇野氏はこれを会社のパーパスとして掲げる。自らの開発力を、事業者のためのテクノロジー活用、そしてAI活用へと役立てていく。そこに宇野氏の一貫した姿勢がある。

LTV最大化を軸にした、オールインワンのプラットフォーム

独立後、宇野氏はLINEマーケティング系ツールの開発を主軸に据え、2022年に「サブスクライン」をリリースした。当初はLINE上でサブスクリプションを実現するサービスとして立ち上げたものだ。

サブスクラインが目的とするのは、顧客のLTV(顧客生涯価値)の最大化である。LINEを通じてロイヤルユーザーと中長期的にコミュニケーションを取り、そのためのサブスク決済機能を提供する。さらに、ロイヤルカスタマーがどこから来ているのかを分析するための広告連携機能など、アドテク領域の機能も開発してきた。

「ロイヤルユーザーと中長期的にコミュニケーションが取れる」ことを核に、決済・予約・広告連携・マーケティングに必要な機能をオールインワンで備えたオリジナルサービスへと成長させてきた。

多機能ゆえの課題を、AI駆動で乗り越える

機能が充実する一方で、新たな課題も生まれた。多機能であるがゆえに、リテラシーの高くない事業者には使いこなしが難しく、一定のマーケティング知識やエンジニアリング知識が前提となってしまう。

宇野氏はこの課題を、AIの力で解こうとしている。OpenAIやClaudeとのMCP連携機能を開発し、AIが駆動してマーケティング活動を進め、人間はそれを承認するだけで運用が完結する。近年はこのAI駆動の運用機能に開発の重点を置いている。

事業の現場では、LINE公式アカウントで友だちを集めていても、一括配信をするだけ、あるいはリストとして集めているだけで終わっている事業者が少なくないという。「非常にもったいない状況」と宇野氏は語る。データドリブンな打ち手をAIが分析・提案し、事業者は承認するだけ。必要な人に必要な情報が届く世界を、宇野氏はプロダクトを通じて目指している。

100人分のアウトプットを出せる人と働く

エンジニア畑を歩んできた宇野氏にとって、エンジニアのマネジメントは大きな支障なくこなせるものだった。一方で、セールスやマーケティング、CS領域はこれまで経験のない領域であり、求める水準と実際のアウトプットのギャップに苦労もあった。この課題もまた、AI活用による仕組み化で乗り越えようとしている。

宇野氏が大切にするのは、AIを前提とした働き方への価値観だ。「AIを活用しなければいけない時代に、今まで通り一人分のアウトプットしか出せない人材は、今後生き残れない」。テクノロジーを活用し、100人分のパフォーマンスを発揮する──そうした価値観にフィットする人と働きたいと語る。

求める人材像は明確だ。第一に、すでにCLIレベルでAIをフル活用できる人材。第二に、スタートアップとしてまだ浅いフェーズにある同社に合う、保守的ではないビルダータイプ・スイーパータイプの人材である。

宇野氏は、これからの若い世代にも期待を寄せる。「以前は、自分でやりたいアイデアがあっても、人を集めて会社を大きくしてスケールする形を取らざるを得なかった。でも今は、アイデアさえあれば一人で作って、セルフでマーケティングして回せる時代」。従来の思考にとらわれない柔軟な挑戦者が増えることを願っている。

世界初・日本初、市場最少人数での上場を目指して

宇野氏が5年程度の中長期で見据えるのは、「世界初・日本初の市場最少人数でのIPO」という壮大な目標だ。

従来、上場するには人を集めて売上を上げることが前提とされてきた。しかし宇野氏は、少人数でもそこを目指せると考える。宇野氏によれば、これまでの最少は社員数9名・役員数5名。同社はそれを大きく下回る規模、極力言えば従業員ゼロでの上場を狙う。

その言葉は決して誇張ではない。現在、同社は宇野氏一人が取締役を務め、社員はゼロ、一桁台の業務委託メンバーのみで運用しているという。「人を育てるよりもAIにした方が効率的でコストもかからない。そこを最適化させるモデルケースになれれば」と宇野氏は語る。

もっとも、宇野氏は人を増やすこと自体を否定しているわけではない。「一人雇って100人分、1000人分のアウトプットを出せる人であれば、ぜひジョインいただきたい」。少数精鋭で改善を積み重ねながら、業容の拡大を見据えている。

事業フェーズとしては売上が一桁億円規模にあり、その先には100億円という大台を目標に掲げる。AIを活用し、従来とは真逆のアプローチで次世代のIPOを生み出す──宇野氏の挑戦は続いていく。

編集後記

「テクノロジーの民主化」という言葉を、宇野氏はきわめて具体的な事業と働き方に落とし込んでいた。人を大量に投下することでしか実現できなかったものを、少数とAIで成し遂げる。その姿は、これからの企業と個人の在り方そのものを問い直すように映る。前例のない上場に挑む静かな確信の内に、次の時代の輪郭が確かに見えた取材だった。

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