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「売りたいものを売らない」——6社グループで挑む、中小経営者の右腕

北海道を拠点に、砂川優太が率いるNext Groupは、SNS運用・コンテンツ制作・PR・業務改善・コンサルティング・ライブコマースを6社体制で展開する総合マーケティング集団だ。代名詞は「相場の半額以下」の低単価と、顧客に本当に必要なものだけを届ける診断型の提案姿勢。業務委託メンバーは約100名に拡大し、中小経営者から大企業の白ラベル下請けまでを支える「最強の下請け会社」の実像に迫る。

目次

棚卸しから独立へ——9年間の会社員生活が育てた「売る力」

砂川は北海道札幌市に生まれ、大学卒業後9年間の会社員生活を送った。最初の7年間は、コンビニやスーパーの棚卸し(在庫数の確認)を専門とする代行会社に勤め、数億円規模の営業所で採用・売上・利益管理を担い、営業所長として「小さな会社の社長を任されているような経験」を積んだ。

「入社3年目ごろから、独立しなきゃなとぼんやり思っていました。枠にとらわれずに、もうちょっと幅広くやりたいことを展開するには独立するしかない、と」

ただ棚卸しというニッチな業界だけでは「普通」が分からないと感じ、妻の助言もあって地元の複合グループ企業(携帯代理店・アパレル・飲食・システム開発)へ転職。人事と採用動画部門の営業責任者として1年9か月勤務し、掲げられた売上目標を達成したその月に退職を申し出て独立した。それが現在のNext Group誕生の起点だ。

「売れない人の力を売る」——Next Groupの組成原理

現在のNext Groupは6社体制で展開する。

  • 株式会社ネクストフェーズ:FacebookやLinkedInを含むSNS運用代行とビジネスコミュニティ運営
  • Next Create社:ホームページ・LP・動画・資料・記事など制作全般
  • Next PR社:プレスリリース・メディア戦略・ポッドキャスト運用・クラウドファンディング支援
  • Next App社:AI活用の業務改善、オンライン秘書、企業単位でのテレアポ人員貸し出し
  • Next Consulting社:副業から起業家育成のコミュニティ運営と経営コンサルティング
  • 株式会社ネオビーツエンターテインメント:TikTokライバー事務所(買収)

グループがこの形に育った背景には、砂川独自の組成プロセスがある。「いいサービスを展開できるけど売るのが苦手な人たちを仲間にした組織なんです。ホームページを作るのが上手、ライティングするのが上手——でもこの人たちは売れない。僕は売る力があったので、これ価格をつけて売ってきていいですかと始めました」。

製作が得意な人の紹介は同じく得意な人へとつながり、サービスメニューが拡充した結果として、6社体制に自然に育っていった。社名にすべて「NEXT」を冠するのも「次なる一歩を踏み出す際にワンステップを踏める会社でありたい」という思いからだ。

必要なものだけを届ける——診断型提案が生む信頼の連鎖

Next Groupのクライアントは2つの層に分かれる。一つは年商3,000万円以下の経営者(全体の約8割)で、社長が何でもかんでも抱え込んでいる少数精鋭企業。もう一つは売上1億円超から50億円規模の企業で、SNS運用・記事制作・動画編集の会社として表に立ちながら実働をNext Groupに委託する大手下請けの形態だ。

顧客対応で砂川が徹底するのは「売りたいものを売りつけない」という姿勢だ。「インスタをやらなきゃと思って来るお客さんでも、本当に必要なのは公式LINEだったりLPだったりMEOだったりする。総合的に見られるからこそ、必要なものを一個ずつタイミングに合わせて売る。それをうちの営業には常に言っています」。

サービス単価は相場の半額以下が基本。「社長が1〜2時間かけてサムネを自分で作るより、営業に行ってほしい。手離れの練習だと思って、うちにまずお声掛けを」と呼びかける。

また、北海道の自社顧客はほぼゼロ。1期目は顧客にもメンバーにも一度も会わないまま決算を迎えた完全リモート体制で、クライアントは本州・九州を中心に全国に広がる。

100名超のフルリモート組織を束ねる等級制度とリファラル採用

砂川一人が役員で、その他全員が業務委託——給与が1円でも発生しているメンバーは約100名に上る。リモートかつ業務委託という難しい組み合わせで、組織の品質維持が最大の課題だ。

「自分がやらなくなったときに品質が落ちてしまう。これはずっと悩んでいます」。その解決策として取り入れたのが1〜10段階の等級制度だ。「3と4が違うことを言ったら、3の言うことを聞け」と徹底。指揮命令系統の混乱を構造で防ぐ。

採用はすべてリファラル(紹介)で、入るメンバーは「このルールを破ったら即日退出」という基準を事前に共有された上で参加する。挨拶・報告・気づきの共有——この普通のことが普通にできれば誰でも歓迎するが、それを破ったら職務量のいかんにかかわらず即座に離れてもらう。

「制作したいけど案件がない、頑張ります、という方でも大いにOKです」と門戸を広く保ちながら、2年間で不義理な退出は2〜3件にとどまる。「部長たちが非常に上手に連携を取ってくれているので、僕が直接やり取りするのはほぼ3人だけです」と砂川は言う。

「人間力でつながる」コミュニティと、7年100億の青写真

新事業として立ち上げたビジネスコミュニティ「Next Story」は、サービス紹介をしないという逆張りのコンセプトが特徴だ。「ビジネスマッチングやコミュニティは今5万とある。差別化はコンセプトしかない。動画インタビューで客観的にその人をひも解き、それを見て繋がりたいと思った人同士が食事会や交流会で会う。サービスじゃなく人間力でつながったほうが、長いお付き合いになります」。

中長期の目標は「7年で100億円」。ただし1社で達成するのではなく、30〜35社・各社に別の社長が立つ形を構想している。「私と同じようなことを考える人を増やしていくほうが重要。今のメンバーを事業責任者として任せて、気づいたら社長になっちゃってる——そんな流れを作りたい」。

1〜3億規模の会社をたくさん作るというビジョンは、創業当初から一度もぶれていない。

会社概要

  • 会社名:株式会社ネクストフェーズ(Next Group)
  • 代表者:砂川優太
  • 事業内容:SNS運用代行、コンテンツ制作(Web・動画・記事)、PR・メディア戦略支援、業務効率化支援・オンライン秘書、経営コンサルティング、TikTokライブコマース事業(6社体制)
  • 組織規模:業務委託メンバー約100名

編集後記

「売りたいものを売りつけない」——この言葉が取材を通じて幾度も頭の中に浮かんだ。砂川氏が急拡大するグループを運営しながらも定着率を保てる理由は、人間関係への誠実さにある。紹介で成り立つ組織、紹介でつながるコミュニティ、紹介を起点にした顧客獲得。信用の連鎖を意図して設計している経営者と出会えた取材だった。

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