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手抜き工事ゼロ、120%の満足を。「第二の匠」を目指す外壁塗装

外壁塗装業界で、価格競争ではなく「工事の質」と「顧客との信頼」で選ばれる会社をつくる——。株式会社SALEの代表・芳野佑介氏は、自衛隊員からキャリアを始め、事業会社の執行役員を経て、外壁塗装の現場で見た「手抜き工事」への問題意識から自らの会社を立ち上げた。目指すのは「第二の匠」。お客様に120%満足してもらう仕事とは何かを、3期目を迎えた経営者に聞いた。

目次

自衛隊から経営者へ、そして「手抜き工事をしない会社」の起点

芳野氏のキャリアは、自衛隊員から始まった。その後、株式会社ドラフトに執行役員として参画し、約3年半にわたって事業に携わる。同社が事業売却という節目を迎えた後、芳野氏は自らの会社・株式会社SALEを立ち上げた。

起業の原点にあったのは、外壁塗装業界で営業として働いていた時代の原体験だ。「僕を信頼して工事を任せてくれたお客様がいた。それなのに、実際に工事に入ったら手抜き工事があって、お客様を泣かせてしまったことがあったんです」。業界に横行する手抜き工事の現実を目の当たりにし、芳野氏はこう考えた。

「手抜き工事を一切しないで、お客様が120%満足するような会社があったらいいよね、と。それで会社を立ち上げました」。営業として培った顧客との向き合い方と、現場で感じた業界への課題意識が重なって生まれたのが、株式会社SALEだった。

選ばれる理由は「安心」と「サプライズ」

同業他社がひしめく外壁塗装業界で、SALEが選ばれる理由は明確だ。第一に、手抜き工事を一切しないこと。「そこがお客様の安心につながって、僕らに工事を任せてくれているのだと思います」と芳野氏は語る。

第二に、芳野氏が大切にしているのが「サプライズ」だ。工事後に家まわりをライトアップし、まるで高級住宅のように仕上げる。単に古くなった外壁を同じ色で塗り直す「修繕」ではなく、思い切って色を変え、デザイン性まで踏み込んで提案する。「ただ塗るだけではなく、ガラッと印象を変える。そこも僕らを選んでいただけるポイントだと思います」。

第三の強みは、顧客とのコミュニケーションの密度だ。SALEでは案件ごとにグループLINEを組み、やり取りを可視化している。「電話だと『言った言わない』になってしまう。LINEなら、ご主人が質問しても奥様にも共有されるし、『こんな工事をしました』というエビデンスが必ず残る。デザインのデータも全部LINEに残しています」。夜勤で日中に電話が取れない顧客とも、LINEなら互いの時間を奪わずにやり取りできる。この誠実な情報共有の姿勢が、顧客が安心して任せられる土台になっている。

立ち上げの苦しさと、価格競争という壁

3期目を迎えるまでの道のりには、大きく二つの苦労があったと芳野氏は振り返る。

一つは、立ち上げ当初の1〜2年だ。「会社がまだ認知されていなくて、『立ち上がったばかりの会社にお願いするのは』と敬遠されてしまう。売上が立たなければ、自分で立ち上げた会社が潰れてしまう。精神的にもきつかったですね」。

もう一つは、同業他社との価格競争だ。金額だけで比較され、他社に案件を奪われることに悔しさを感じてきた。「安かろう悪かろうではいけない。衣食住の『住』の部分だからこそ、金額だけで決めてほしくないんです。手抜き工事をされたお客様を散々見てきたので、それなら僕らに任せてほしいという気持ちでした」。もっとも3期目に入った今、相見積もりで負けることはほとんどなくなったという。価格以外の強みが、顧客に確かに伝わり始めている。

目指すは「第二の匠」、そして夢を共有できる仲間づくり

芳野氏が掲げる経営理念は、数字で言えば年商100億円。だがその本質は、より象徴的な言葉に込められている。「目指しているのは『第二の匠』です」。かつてテレビで人気を博した住宅リフォーム番組になぞらえ、依頼者の想像を超える提案で120%の満足を届ける——その存在に自社を重ねる。

経営判断において芳野氏が最も迷い、そして最もこだわるのが「人」だ。採用で見るのは、能力よりもまず「夢や目標があるかどうか」、そして「素直かどうか」。「面接ではみんないいことを言う。だからこそそこは本当に迷います。でも、将来こうなりたいという軸を持っている人を積極的に採っています」。

その背景には、芳野氏自身の夢がある。「8年後には世界一周旅行に行きたいんです。でも一人で行くより、二人、三人、みんなで行けたらいい。だから『その夢いいですね』と共感してくれる人と一緒に働きたい」。会社の成長を、経営者一人のものではなく、共に働く仲間全員の夢の実現として描いている点に、芳野氏の経営観がにじむ。

東京から北へ、拡大の設計図

今後、SALEは段階的に事業規模を広げていく構想を描く。来年は2〜3億円、3年後には5億円規模を視野に入れ、中長期的にはさらに大きな成長を目指す。3年後をめどに、中小のハウスメーカーとアライアンスを組み、紹介による安定した受注の流れ(インバウンド営業)を強化していく方針だ。

地域戦略も明確だ。「東京・埼玉・群馬、そして甲信越。東京から北のエリアを、どんどん増やしていきたい」。すでに山梨県では認知が広がりつつあるといい、この手応えを起点に、周辺地域へとプレゼンスを高めていく考えだ。

一方で、組織の課題も冷静に見据えている。営業は人対人の仕事であり、一人前になるまでに時間がかかる。人員が増えれば離職のリスクも出てくるため、「誰でも成果を出せる仕組み」の構築が欠かせない。また、外壁塗装の職人は育成に時間を要するうえ、20〜30代の若手の採用自体が業界的に難しい。「素直な人を採って、時間をかけて一人前にしていく」——この地道な人づくりこそが、拡大フェーズを支える鍵になる。

会社概要

  • 会社名:株式会社SALE
  • 代表者:芳野佑介
  • 事業内容:外壁塗装・住宅リフォーム
  • 社員数:15名

編集後記

手抜き工事に泣かされた顧客を見てきたからこそ、「120%の満足」を掲げる——芳野氏の言葉には、業界への静かな怒りと、それを行動に変える実直さが同居していた。数字の目標を語りながらも、その根にあるのは「夢を共有できる仲間と歩みたい」という願いだ。価格ではなく信頼で選ばれる会社をつくろうとする姿勢は、住まいという生活の基盤を預かる仕事の重みを、あらためて思い起こさせてくれる。

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