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現場を止めない段取り力——挑戦を重ね、次は「人を育てる」建設監督業

北海道の屋根職人から愛知の土工、営業、飲食と、幾多の業界を渡り歩いて建設の道に戻り、一人親方を経て株式会社サンキン企画を立ち上げた佐藤欣三氏。ゼネコンの下で現場を預かる施工管理を生業とし、「現場を滞らせない段取り」で厚い信頼を築いてきた。事業を伸ばすなかで見えた最大の壁は「人」。本記事では、挑戦を恐れない経営者の歩みと、現場監督不足に挑む新たな構想に迫る。

目次

北海道から愛知へ、挑戦を重ねた歩み

佐藤氏のキャリアは、けっして一本道ではない。北海道で高校を卒業後、建築板金の屋根工事に従事。冬になると仕事が途絶えるため、愛知県へ土工のアルバイトに向かい、そのまま移住した。

その後もメンテナンス業、フルコミッションの営業職、飲食店と、さまざまな仕事に挑んでは壁にぶつかった。「とにかくいろいろ、何でもやってみたい」という性分が、佐藤氏を次の挑戦へと駆り立ててきた。

転機となったのは、縁あって紹介された建築関係の仕事だった。一人親方として約10年、現場で腕を磨き、経験を積み重ねた末に立ち上げたのが、現在のサンキン企画である。

「株式会社」という信用を選んだ理由

法人化を選んだ背景には、佐藤氏なりの現実的な判断があった。「何かをするために必要なのは、お金と社会的な認知、保証のようなもの」。手元の資金は潤沢でなくとも、株式会社という形をとることで、取引先や社会に対する一定の信用を得られると考えた。

やりたいことを実現するための土台づくり——法人化は、次々と挑戦を重ねてきた佐藤氏が、腰を据えて事業に向き合うための一歩でもあった。

ゼネコンの信頼を支える「段取り」

サンキン企画の生業は、ゼネコンの下について建設現場の管理を担う監督業だ。職人(職工)の調整と工程管理を一手に引き受ける、いわば現場の司令塔である。

同業他社が数多くあるなかで、なぜ継続的に仕事を任されるのか。佐藤氏は自らの強みをこう語る。「極力、現場が滞らないように段取りしていくことを心がけています。工程にのっとって、先回りして段取りできるものは極力しておく」。この地道な先回りの積み重ねが、結果として他社との差になっているという。

現在取引するゼネコンとの関係は強固だ。内装工事も自ら請けられる状況にありながら、あえてゼネコンの現場管理に専念する。「部長さんから『仕事は絶対に私で追ってくれ』と言っていただいている」。信頼に応えるために立ち位置を守る、その姿勢が次の信頼を呼んでいる。

タイミングと直感で舵を切る

経営の岐路で佐藤氏が拠りどころとするのは、「タイミング」と「直感」だ。「何が正しくて何が正しくないかは、人によって考え方が違う。だから、今の自分が信じているもの、行きたいと思った方向へ舵を切る」。

とりわけ大切にするのが、機を捉える感覚である。「これをやりたいと思ったタイミングで入ってきたものは、受け入れよう」。数々の挑戦と失敗を経てなお前へ進んできた佐藤氏らしい、しなやかな判断軸がそこにある。

人を育て、受け入れる経営へ

事業拡大に向けた最大の課題は、人材だと佐藤氏は言い切る。今年、一般建設業の許可を取得し、より大きな請負案件に挑める体制は整いつつある。しかし、現場を任せられる管理者がいなければ、受けられる仕事にも限りがある。

これまでは即戦力の経験者を求めてきたが、そこに佐藤氏は自省を重ねる。「経験者といっても、1年やった人と10年やった人でそれほど変わらないこともある。自分の求めるハードルをもっと下げて、育てていく方法でいかないといけない」。求める基準を緩め、人を受け入れ育てる——その転換こそが、次の成長の鍵だと見据えている。

建設業ならではの構造的な壁もある。応募者には年配層が多く、目指す働き方とのギャップに悩む場面も少なくない。「元請けが変われば、自分たちの働き方も変わる。まずゼネコンが変われるように、今は自分たちが頑張らなければ」。業界全体の働き方改革を、川下から押し上げようとする気概がにじむ。

現場監督不足に挑む教育事業

佐藤氏がいま見据えるのは、日本全体で深刻化する現場監督・管理者の不足だ。その一因を、佐藤氏は「調整の難しさ」に見る。職人との時間や工程の調整には、時に威圧感が伴い、若手が萎縮してしまう。「そうしたシーンがあっても折れない心を持つ若手監督を増やしたい」。

そこで着手しているのが、管理者を育てる教育事業である。3〜5年後には、建設業にとどまらず、企業の新人教育など社会全体へと構想を広げていきたいという。すでにその受け皿となる一般社団法人を設立し、佐藤氏自身が代表理事に就いた。まだ準備段階だが、「これから形をつけていけたら」と、次なる挑戦への静かな決意を語った。

会社概要

  • 会社名:株式会社サンキン企画
  • 代表者:代表取締役 佐藤 欣三
  • 事業内容:建設現場の施工管理・職工管理(ゼネコン下請け)、内装工事
  • 従業員:代表1名(協力パートナー数名)

編集後記

屋根職人から土工、営業、飲食を経て建設の道へ——佐藤氏の歩みは、挑戦と失敗を恐れない生き方そのものだった。現場を止めない段取り力で信頼を積み上げる一方、いま関心は「人を育てる」ことへと向かう。自らの求める基準を省みる誠実さと、監督不足という業界課題に正面から挑む志。その両輪が、次の10年を形づくっていくにちがいない。

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