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不正の多い太陽光業界を、適正価格とコンプラで正す──TRY GREEN・西村和樹の再エネ経営

太陽光発電・蓄電池の販売を軸に、わずか数年で年商30億円規模へと駆け上がったTRY GREEN株式会社。代表取締役の西村和樹氏は、新卒からこの一本道を歩み続けてきた生粋の太陽光営業マンだ。不正やトラブルがつきまとう業界にあって、「適正価格でいい商品を届ける」ことにこだわり、仕入れから工事、アフターフォローまでを自社で束ねようとしている。目先の数字ではなく長く続く事業を選んできた経営者の哲学と、これからの再エネへの覚悟を聞いた。

目次

新卒から一貫、太陽光ひとすじのキャリア

西村氏のキャリアは、新卒で入社した太陽光・蓄電池の大手販売会社から始まる。社員として約3年働いたのち、25歳で業務委託契約のフルコミッション営業へと転じ、29歳までひたすら現場で数字をつくり続けた。

「新卒以降ずっと、太陽光・蓄電池の販売の営業をしているというような感じです」。ぶれることのないその一貫性が、いまの事業の土台になっている。

29歳でTRY GREENを設立。直接のきっかけは、フルコミッション時代に得た大きな収入をめぐる税金の問題から法人化を選んだことにあった。だがその根には、もっと強い思いがあったという。

「太陽光業界でなかなか不正が多い中で、適正価格でお客様にいい商品を届けて、電気料金の削減と、これから再エネの普及を自分の手でやっていきたい」。会社設立は、業界のあり方そのものへの問題意識から生まれた選択でもあった。

卸会社との連携が生む、圧倒的な提案領域

TRY GREENの顧客は、9割近くが一般住宅というB2Cが中心で、残りが法人だ。営業は売上の半分ほどを新規の飛び込みが占め、もう半分は保険代理店やリフォーム会社など、戸建てにまつわる仕事を手がける企業とアライアンスを組んだ紹介から生まれている。

同社の強みは、単なる小売会社にとどまらない構造にある。グループには太陽光・蓄電池を扱う卸の会社があり、年間100億円近くを仕入れることで、メーカーから安く、そして国内外80社と提携して幅広い製品をそろえられる。

さらに、優秀なファイナンシャルプランナーとも連携している。「保険から証券から節税から運用から、あとは住宅周りのリフォーム、内装、その辺の提案領域がすべて一括でできちゃう」。太陽光の販売と設置・メンテナンスにとどまらず、住まいと家計にまつわる提案を丸ごと引き受けられる幅の広さが、競合ひしめく業界での差別化になっている。

設立メンバー7割の離脱が変えた経営観

順調に映る成長の裏で、西村氏は大きな痛みも経験している。設立メンバーのおよそ7割が会社を去ったことだ。

「毎期毎期、売上を上げてきて、その分数字は上がっているものの、求めるものが現場での数字だけだった。大切な従業員に、数字を上げるためだけに向き合っていた時があった」。その反省が、経営の軸を大きく動かした。

いまは「数字は後でついてくる」と考え、やるべきことを明確に決めて会社の方針を定める。売上の半分以上を上場企業を含む提携先との協業でつくれるようになったこと、そして工事現場の内製化に踏み出したことは、目先の売上だけを追うのではなく、長く企業として、長くお客様と付き合っていくという姿勢への転換の表れだ。

コンプライアンスを徹底し、長く選ばれる会社へ

売上を追えば、無理な営業や強引な販売が入り込みやすい。業界では業務改善命令や不正が起きやすいと西村氏は率直に語る。だからこそ、TRY GREENはコンプライアンスの徹底を最優先に置く。

定期的な商品知識の共有や営業トークの確認に加え、契約後には外部の力も借りて契約内容をチェックし、過去の顧客にアンケートを取る。提案の場面だけでなく、設置後まで手厚く目を配る体制を敷いている。

判断に迷ったときの軸も一貫している。「目先の売上数字だけだったら、基本的には飛びつかない。長い目線で見たときにこれが必要なのか否か」。大きな設備投資や採用コストは、その長い視点に立ってこそかけていく。長く続けて実績を積み、信頼できる企業と提携する──その積み重ねが、いまの需要の高さのなかで選ばれる理由になっている。

求める人だけを採る、覚悟の採用

TRY GREENの採用観は独特だ。営業職に手厚い福利厚生はほとんどない。「セルフブラックで、寝るな休むな飲むな、という状況で、求めている人のみしか採用していない」と西村氏は言い切る。YouTubeやTikTokで会社の実態を見たうえで、それでも入りたいという人だけを迎える。

見るのは、ほぼ過去の実績だけだ。スポーツで全国大会に出ているか、レギュラーだったか。「過去は嘘をつけない」からこそ、やるべきことを果たしてきたか、そして自分の夢や目標、目的がはっきりしているかを問う。面接はとてつもない数をこなす一方で、新卒採用は10名だけと決めている。

「業界全体が、ごそっと入れてごそっと辞めさせて、強いだけ残すというのが多い。それでは自分の人生が良くならない人たちを、強制的にきつい環境に入れることになる」。だから求める人、活躍できそうな人だけに絞る。その結果、30億円という売上のほとんどを、平均25歳ほどの若い営業陣がつくり出している。異業種で活躍してきた優秀な人材が社内に多く、身近に学べる環境があることも、若手が伸びる土壌になっている。

内製化とOEMで描く、戸建てまるごとの未来

これからの3年で、西村氏は年間1000棟近くの販売を1.5倍の1500棟へ、売上を45〜50億円規模へと伸ばす青写真を描く。鍵は、現在年間20億円にのぼる外注費だ。電気工事や足場といった建設現場の工程を全国で内製化できれば、販売から工事、アフターフォローまでを自社で完結でき、リフォーム案件も自然と流れ込んでくる。

5年後を見据えれば、構想はさらに広がる。塗装の代わりに一度貼ればメンテナンスがほぼ不要になる金属サイディングなど、大型のリフォーム・修繕商材への展開。そして卸会社を軸にした、同業者向けの太陽光・蓄電池のOEMや、自社が電力供給側に回る電力プランづくり。「戸建てにまつわるものは、すべて解決できる状況を実現できたら」という思いが、その先にある。

そして西村氏が最後に語ったのは、業界そのものへの願いだった。「再エネで日本のエネルギー構成を正しくしていくなら、同業同士がしっかり国の目的に向かって、コンプライアンスを守り、むしろ協業しながら、いい製品をお客様に届けていく。それを正して、示していけるような会社に自分がなれたら」。自社の成長の先に、業界を正す担い手であろうとする覚悟がにじんでいた。

会社概要

  • 会社名:TRY GREEN株式会社
  • 代表者:西村 和樹(代表取締役)
  • 事業内容:太陽光発電・蓄電池の販売(住宅向けが中心)、および保険・リフォーム等を含む住宅周りの一括提案。グループに太陽光・蓄電池の卸会社を持つ
  • 販売実績:毎月およそ80〜100世帯に太陽光・蓄電池を設置

編集後記

新卒から一本道で太陽光を歩み、若くして大きな成功を手にしながら、西村氏の言葉に驕りはなかった。むしろ設立メンバーの離脱という痛みを経て、「数字は後からついてくる」という原点に立ち返った姿が印象的だ。不正が起きやすいと言われる業界で、コンプライアンスと適正価格を掲げ、仕入れから工事まで自らの手で束ねようとする姿勢は、再エネの普及を担う一企業の責任の取り方そのものに見えた。業界を正して示す──その言葉が空約束に終わらないことを、これからの数字が証明していくはずだ。

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