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「全ての人の幸せのために」——一人ひとりに合わせた支援で、心の問題に寄り添う

株式会社水戸心理・療育センター代表取締役・富田賢史氏は、大学院修了後に多様な現場で心理カウンセリングの経験を積み、10年前に同社を立ち上げた。一般的なカウンセリングから発達に課題を抱える子どもの支援まで、対象や技法を限定せず「その人に合ったオーダーメイドの支援」を貫くのが同社の姿勢だ。掲げる理念は「全ての人の幸せのために」。目の前の一人だけでなく、その人を取り巻く家族や社会全体にとっての解決を見据える富田氏に、事業への思いと今後の展望を聞いた。

目次

多様な現場で培った「幅広く力になりたい」という原点

富田氏は新潟県新潟市の出身。大学院を修了後、民間のカウンセリングオフィスに5年間在籍し、心理カウンセリングを中心に経験を積んだ。その間、教育の公的機関に籍を置いたり、小児科など医療系のカウンセリングを並行して行ったりと、活動の場は多岐にわたった。現在も大学の講師と専門学校の教員職を兼務している。

こうした経歴が、独立への原動力になった。医療関係のカウンセリングは基本的に1対1で、診断が出ている人が対象になりがちだ。しかし富田氏は、さまざまな立場の人の悩みや問題に向き合ってきた経験から、対象を狭めることに違和感を抱いていた。

「偏った一つの対象だったり、1対1のカウンセリングのみといったことは、私自身もあまり性に合わない。幅広くいろいろな方の力になりたいという思いがありました」。その思いが、独立の出発点となった。

心理カウンセリングと障害児支援、二つの柱

同社の事業は大きく二つに分かれる。一つは、精神疾患やトラウマ、家族関係、職場の人間関係といった多様な相談に応じる心理カウンセリング。もう一つが、子どもの発達を支える障害児通所支援事業だ。

子どもに関する相談は、富田氏がこれまで受けてきた相談のなかでも割合が多く、その背景に発達の傾向が関わっているケースが少なくなかったという。発達に関する支援は回数を重ねて継続することが欠かせないが、そのぶん利用者の経済的な負担も大きくなる。中途半端にしか通えなければ効果も出にくい。

「継続して、負担が少ない形で、しっかりとした支援をやっていく。それが一番目指したいところでした」。そこで、公的な制度である放課後等デイサービスや児童発達支援を活用し、利用者の負担を抑えながら支援を届けられる形を整えた。心理カウンセリングとは切り離し、もう一つの柱として位置づけている。

「その人に合ったやり方」が結果的に短期解決を生む

競合との比較を尋ねると、富田氏は「他社のリサーチはあまり詳しくない」と前置きしつつ、自社の強みを語った。一つは、実に多様な人の問題解決を手伝えること。そしてもう一つが、富田氏が主に用いる「短期療法」だ。

「特定の技法をこれでやります、というよりは、その方一人ひとりに合ったやり方を選んでいる。だから負担も少なく、満足感も高く、結果として問題解決も早い」。短くしようとして短くしているのではなく、その人の問題性に一つひとつ合わせた結果として、短期間での解決につながっているのだと富田氏は説明する。継続を望む人ばかりではない時代のニーズにも、その姿勢が合っているという。

相談に訪れる層は幅広い。事業の形態上、件数としては子どもの相談が多くなるものの、通常のカウンセリングには高齢者から若い世代まで、年齢も悩みもさまざまな人が訪れる。

最大の苦労は、幅広い支援を担える人材の育成

代表として一番苦労したことを問うと、富田氏は迷わず「人材育成」を挙げた。一人ひとりに合わせた幅広い支援を大切にしているだけに、その考え方を職員に伝えるのは容易ではない。

「いろいろなケースが来て、このパターンはこうかな、というのが毎回変わる。そこをつかんでいただくのは、非常に時間も労力もかかります」。再現性をどう持たせるか——マネジメント上の大きなテーマだ。現在の職員は研修中の人を含めて6名。キャリアに応じて、経験を積んだ職員がカウンセリングを担っている。

会社としては、富田氏個人を前面に売り出すのではなく、組織全体で広報する方針を取る。「自分の人生を売りにしているわけではないので、会社全体でということでやっています」と語る。

目の前の一人だけでなく、社会全体にとっての解決を

経営で大切にしているのは、「全ての人の幸せのために」という理念だ。1対1のカウンセリングでは、どうしても目の前の相談者だけに視点が向かいやすい。しかし富田氏は、より広い視野を持ちたいと考えている。

「その方が良くても、家族や、周りの社会の先生方、同僚の方が困る形ではいけない。社会全体がこれでいいと思えるような解決を目指したい」。支援を行ううえで最も大切にしている考え方だという。

だからこそ、共に働く人に期待することも明確だ。支援する相手の人生全体をどう背負えるか、自分が関わることでその人の人生にどんな良い影響を及ぼせるかを考えられること。そして、この仕事は下積みが長く、トレーニング期間も長い。

「心理やカウンセリング、人を支援することが自分の自己実現になっている、こういう支援ができる人になりたいと思って働く方を大切にしたい」。逆に、好きなことをしながら報酬を得たいという姿勢の人には向かない仕事だと率直に語る。職員は20代後半が中心で、女性が多い。人の話を緻密に聞き、ケアをしたいという意識は、女性に多く見られるのではないかと富田氏は感じている。

規模を倍にし、支援を届ける裾野を広げる

今後については、来年度に新たな社員が4名加わり、もう一つ事業所を開設する計画が並行して進んでいる。単純な規模で言えば倍になる構想で、ある程度形になるのは3年後から5年後を見込む。

年商へのこだわりは薄い。「お金を稼ぎたくて開業したわけではないので、結果として、きちんと維持できる形で年商が上がっていけばいい」。数字を追うより、支援を継続して届けられる体制を着実に築くことに主眼を置く。

最後に、相談を考えている人へのメッセージを求めると、富田氏はこう語った。「カウンセリングは勇気がいるものだと、非常によく理解しています。そのうえで、その方に寄り添った支援をさせていただくつもりです。ぜひお問い合わせいただければ、一緒に解決をお手伝いしていきたい」。

会社概要

  • 会社名:株式会社水戸心理・療育センター
  • 代表者:代表取締役 富田 賢史
  • 事業内容:心理カウンセリング、障害児通所支援事業(放課後等デイサービス・児童発達支援)

編集後記

特定の技法や対象にこだわらず、目の前の一人だけでなくその人を取り巻く社会全体の幸せまで見据える——富田氏の言葉からは、心理支援に携わる者としての誠実さと視野の広さが一貫して伝わってきた。「全ての人の幸せのために」という理念は、決してスローガンではなく、一人ひとりに合わせた地道な実践の積み重ねに裏打ちされている。心のケアを必要とする人にとって、確かな拠り所となる存在だと感じた。

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